校長室より

2023/12/18
三方よし
 近江商人とは、大坂、伊勢と並ぶ日本三大商人の一つと言われ、江戸から明治にかけて近江(滋賀)に本店を置き、日本各地で活躍した商人のことです。近江商人は信用を得るために「買い手よし 売り手よし 世間よし」という「三方よし」の精神を大切にしていました。自らの利益のみを求めることなく、多くの人に喜ばれる商品を世に提供し、一定の利益が得られれば私財を費やし、学校を建てるなどの貢献を行いました。
 この「三方よし」の考え方は現代の日常生活においても当てはめることができます。例えば「あいさつ」は声をかけた自分だけでなく、かけられた相手にとっても気持ちのいいものです。家族や友達、会社の同僚に自然にあいさつを交わすことができればきっと世の中もっと明るくなるはずです。「相手よし 自分よし みんなよし」という考え方です。
 ちなみに近江商人の典型的な行商のスタイルは荷物を天秤棒を担ぐスタイルです。天秤棒1本から財を築き、全国各地に進出し、豪商と呼ばれるまでに発展しました。商売の心とは何かを説いた「てんびんの詩」という書籍も有名ですね。
 蛇足ですが近江商人の流れを汲む有名企業としては、西武鉄道、西武グループ、セゾングループ、高島屋、伊藤忠商事、丸紅、住友財閥、ヤンマー、トヨタ自動車、日本生命保険、ニチレイ(前身は帝国水産) などが挙げられます。すごいですね。
 さあ、今週末で2学期も終了します。残り僅か、三方よしの気持ちを持って頑張っていきましょう。
2023/12/11
集団生活のきまり
2学期も終盤を迎えます。大きな行事もほぼ終えることになります。3年生の修学旅行に始まり、2年生の校外学習、文化祭、体育祭、1年生の校外学習とみんなの心に素晴らしい思い出を刻み、無事終えることができました。
 打出中学校の生徒はどの活動に際しても5分前集合や静かに整列、そして話を聞くことなど各自が意識して取り組むことができています。当たり前のことですがそれを大人数で実行できることは大変すばらしいことです。また、困っている友達にさりげなく声をかける姿もあちらこちらで目にすることができ、うれしく思っています。しかし、まだまだ課題もあります。これらの行事を通して学んだことを生かし、これからの学校生活がより良くなっていくことにあるということに取り組みの成果があります。
 誰もが楽しく生活できるためには、社会のルールや集団生活のきまりを身につけていくことが大切です。我慢すること、人と協力すること、他人を思いやり尊重することなど、人として大切なことや、社会で生活していくルールを学校という集団生活の中で学び、実践することは学校という集団生活の場でこそ学べるものです。勉強も同じです。一緒に学ぶことによってお互いに教えあい、意見を交換することで色々な考え方や解決方法があることを知り、友達からの刺激で考えも深まってきます。
 学校は学力と社会性を身につけさせる場、社会の一員としての資質を育てる場と考えています。
2023/11/27
親切と不親切
 「取扱説明書」って読んだことありますか。家電品を購入すると必ず「取扱説明書」が同封されています。ここまで説明しなければいけないのかって考えてしまうこともあります。
 家電品を取り扱い方の説明であるのに、「下に落とすと割れる場合があります」とか「スイッチを入れたが作動しないときは、コンセントを差しこんであるか確かめましょう」などと書かれています。説明責任が言われて久しいですが、何でもかんでも丁寧にすればいいのでしょうか。
 何から何まで親切すぎる姿勢は学びの機会を減らすことになってはいないでしょうか。
2023/11/20
ブーメラン効果
 相手を一生懸命説得しようとすればするほど、反発により逆の行動に導いてしまう現象のこと「ブーメラン効果」と言います。自分の行動を他人に強制されると、それに反発したくなるものです。「勉強しなさい」と言われてやる気がなくなった、という経験を持つ人も多いでしょう。「買わないと損ですよ」と強く勧められると買いたくなくなる。こういうのもブーメラン効果です。同じ意見をもつ人から説得される時や信用していない相手から説得される時にブーメラン効果が起きやすいと言われています。
 親は子どもの勉強に関して心配しがちですが、勉強に話題がかたより過ぎていると「自分でそうしようと思っていたのに!」と反発を招きます。他の話題でリフレッシュできたほうがやる気も湧いてくるものです。勉強のことは、幅広い話題のうちのひとつと考えることが大切かもしれません。

2023/11/13
ないものねだりとあるもの探し
 私たちは誰かが持っていて自分は持っていない「ないものねだり」をしてしまいがちです。「ないものねだり」は仮のそのものを得ても、また次の「ないものねだり」に続き、尽きることはありません。しかし、自分は気づいてなくても、他人から見れば自分は多くのものを持っている場合もあります。自分にないものを探すより、あるものにもっと目を向けて自分の中の「あるもの探し」を行う、そしてそれを伸ばすことに力を尽くすほうが大切ではないでしょうか。
 「ないものねだり」によって、自分が努力するためのエネルギーに変えられるのならいいですが、単にひがみで止まってしまうなら無意味ですね。気づけていないだけで、誰もがきっと他の人にはない特技やできることを持っているはずです。もっと自分の力や魅力を大切に育ててみませんか。

2023/11/06
「言霊(ことだま)」
 昔から「言葉に宿るエネルギー」のことを「言霊」と言うそうです。『命』の人文字ギャグで人気を博したタレントのゴルゴ松本さんは全国の少年院をめぐり、若者たちに「『命』の授業」を行っています。その著書「命の授業」も有名ですが、ゴルゴ松本さんはこんなことを言っています。「苦難・困難・災難など、『難』という言葉には避けたい事柄が多い。でも『無難』な人生なんて、他の人に比べて無難なだけで実際はありえない。有ることが難しいから『有難い』」。納得する言葉です。「ありがとう」や「大好き」「うれしい」などの言葉には「プラス(+)のエネルギー」が宿り、「ウザイ」とか「イヤ」という言葉には「マイナス(−)のエネルギー」が宿っていると言われます。言葉は相手だけでなく、発した自分にもプラスやマイナスのエネルギーとして返ってきます。
何かの言葉に心が癒され、勇気づけられるように、言葉には人の心を動かす魔法があります。いい言葉に触れることで心は潤い、また前に進む勇気を与えてもらえます。
 言葉づかいを変えれば、考え方も変わってきます。例えば、
「どうせできないもん」→「とにかくやってみよう」。
「あーっ疲れた」 → 「よくがんばったぁ」。
「すみません」 → 「ありがとう」。
私も常に意識したいと思います。
2023/10/31
人生初のグリーン車(時間をお金で買う)
 先週、全国の校長先生が集まる会議が2日間あり、大分・別府に行ってきました。大まかな日程はわかっていましたが、最終日は会場から駅までの移動手段やかかる時間も不明でしたので初日の会議終了後に帰りの切符を手配する計画でした。ところがどの列車も満席で早くても駅で2時間半待つ必要あり。それもグリーン車しか空いていないとのことでした。別府から大津まで5時間の道のり。これ以上は待っていられないとしぶしぶお金を余分に払って切符を手に入れました。
 私たちは意識的に少しお金を払って、時間を少し得ることはできます。でも時間が買えると幸せかどうかはそこに相関関係にはありません。お金を使って時間を買える人は、時間を得るためのお金を持っているから幸せなのかもしれません。時間のために、意図的にお金を使うとはいえ、多くの人はお金を払って自分の時間をつくるような経済的な余裕はないでしょう。そこにはその時々の意識的な判断の下での価値づけが重要です。
 時間を買う秘訣は、お金によって得られた時間をどう使うか。お金を出して時間を得ることに価値があると感じられる場合だけ幸せにつながります。人によっては例えば、家の掃除をする時間や手間の代わりにお金を支払い、そのできた時間で家族や友人と一緒に過ごすことに価値を見出すならそこにはお金を払う価値があります。読書をするための時間確保に、愛犬と過ごす時間の確保のために。人それぞれ価値は異なります。いづれにしてもその時こそ自分がお金を出してちょっとした幸せが買えることになります。
 さて、私の場合はどこに価値を見出していけばいいでしょうか。もう少し計画性をもった行動をしなければならない自分へのお勉強代です。でも、初めてのグリーン車を経験したことは幸せなことかな。
2023/10/23
いい香り
 校内のあちらこちらに金木犀(キンモクセイ)が植わっています。今年も橙色の花をつけ、いい香りを放ってくれています。秋の訪れを感じさせる金木犀は、小さな橙色の花をつけることや、強い香りがあることにちなんで「気高い人」「真実」「真実の愛」という花言葉がついています。花びらの小ささから控えめな印象もあり「謙遜」という花言葉もあります。
 ところで銀木犀(ギンモクセイ)って知っていますか。真っ白な金木犀に似た花をつけます。真っ白な綺麗な花から「初恋」「高潔」の花言葉がついています。金木犀はいたるところで見ることができます。忙しい毎日ですが、銀木犀にも出会えるといいですね。この季節、ゆっくり深呼吸をしてゆったりと金木犀の香りを嗅いでみてはどうでしょう。
2023/10/16
何のために働くのか?
 「働く意味って何だろう」。社会が豊かになり、職業や生き方も自由に選択できるようになった今、働くことの意義について疑問をもつ人も多いと聞きます。昔は生きるため(食べるため)に仕事をしなければならない現実がありました。豊かになった今、ただ「働かなければならない」だけでは、「働く意義」を見出せなくなっているのかもしれません。
 お金を得て生活していることから、「働く=お金を得る」という捉えは否定しませんが、それだけではないことも事実です。「お金」があまり入ってこなくてもイキイキと働いている人たちがいます。どちらかというと「お金」よりも「働き」そのものに充実感を感じているようにも思います。
 一生遊んで暮らせるなら幸せでしょうか。人間は、「働く」ことからしか得ることのできない充実感ややりがい、満足感に価値を見出す生き物であるようにも思います。「働く意味」とは、お金を稼ぐ手段であると同時に、働くことでしか味わうことのできない人生の充実感を味わうためのものであるのでしょうね。2年生の職場体験学習も始まります。短い期間ではありますが仕事について考えを深められるといいですね。

2023/10/09
全力を出し切った体育祭
 曇り空の中でしたが、10月5日に4年ぶりに全校一斉での体育祭を開催することができました。開会式当初は小雨がぱらつき、肌寒い天候でしたが、熱戦が繰り広げられ、大きなけがもなく無事終了することができました。大勢の保護者の皆様に観戦いただき、大いに盛り上がった体育祭でした。
 行事のたびに「どうせやるなら一生懸命取り組もう。一生懸命取り組んだ後には、よかった、うれしい、悔しい・・・何らかの感動が残ります。この感度が大切。」と話しています。皆さんが行事に対して熱心かつ全力で取り組んでくれる姿に加え、全力を出し切った仲間を讃え合える雰囲気を感じ取ることができ、大変うれしい気持ちになります。
 昨年は学年ごとでの開催でしたが、今年は全校一斉。先輩の頑張る姿を直接目の当たりにすることで打出中学校の良き伝統が継承されていきます。本校の生徒は何事にも一生懸命に取り組むだけでなく、友達の頑張りを認め、素直に応援できるところが何よりの強みだと思っています。
 行事を通して大きく成長する姿があります。教師もまた同じように成長させてもらっています。本当にありがとう。これからも集団としての一層の高まりを目指して頑張っていきましょう。繰り返しになりますが、ありがとう!

- Topics Board -