校長室より

2025/01/02
随分様変わりしたお正月
 今年の元日は天候にも恵まれ、いつも以上に晴れ晴れとした気持ちになった人も多かったでしょう。日中、車を走らせていると、「本日休業」の看板を出しているお店が多いことにふと気づきました。数年前まではスーパーマーケットなど量販店でも元日から営業しているところも多くあったように記憶しています。働き方の見直しも進む中で便利さを求める価値が少しずつ様変わりしつつあると感じました。
 お正月と言えば「おせち」が頭に浮かびます。元は季節の節目を祝って食べる料理でしたが、現代ではお正月だけおせち料理を食べる文化が残っています。おせちの食材には日持ちのする縁起の良い意味が込められた食材が並んでおり、親戚が集まることが多かった三が日におせち料理を振る舞うことで、料理や洗い物などの手間を減らす負担軽減の意味もあったようです。また、火の神様として知られている荒神様(かまどを守る神様)に正月に休んでいたき、火を使わないことで火事が起こらないようにするという謂れもありました。
 世知辛い世の中、お正月くらいゆっくり過ごすことも大切なのかも知れません。
2024/12/21
冬至
 一年の太陽の動きを24等分にして決められている二十四節気の中で今日は「冬至」。一年の中で昼が一番短く、夜が一番長くなる日のことです。「小寒」から始まり「冬至」が二十四節気の最後です。「冬至(とうじ)、冬中(ふゆなか)、冬はじめ」という言葉があるように冬至を境に、太陽が出ている時間が少しずつ長くなっていくため、悪い運が終わり、幸運に向かう始まりの日と考えられていました。また、昼の時間が短いことから、運気が下がり、身体も弱るとも考えられ、それを乗り切るために、無病息災を願う風習(ゆず湯、かぼちゃ)が生まれたと言われています。幸運を呼び込むためににんじん、れんこんなど「ん=運」の重なる食材を食べるようになったそうです。かぼちゃの別名は「なんきん」。納得です。特にかぼちゃはこの時期に摂取しにくい栄養素がたっぷり入っているため、かぼちゃを食べる習慣が広まりました。
 二十四節気の基点である冬至は、暦の上では、春に向けてスタートの時期とも言えます。是非ゆず湯に入って、かぼちゃを食べて、冬本番の寒さを乗り切りましょう。
 23日は2学期最後、終業式です。
2024/12/15
クリスマスブーツ
 街の中にクリスマスソングが流れ、色とりどりのイルミネーションが飾られ、あちこちでクリスマスシーズン到来を感じる季節になりました。お店に並ぶお菓子が詰まった「クリスマスブーツ」を見てクリスマスを感じる人も多いでしょう。この「クリスマスブーツ」。実は滋賀県の草津市が発祥の地です。クリスマスシーズンになると草津駅近くに出現する大きなブーツを見たことある人も多いでしょう。
 「クリスマスブーツ」が誕生したのは今から何十年も前に草津市にあるお菓子会社が初めて世に送り出したものです。クリスマスは西洋から日本に伝わった風習ですが、ブーツ型の入れ物にお菓子を詰めて贈る「クリスマスブーツ」は日本だけに広まった文化だそうです。
 クリスマスブーツはお菓子の会社がクリマスツリーの飾りにヒントを得て、『大きくしてお菓子を入れたらどうだろう?』と着想したことが始まりだそうです。クリスマスツリーにブーツや靴下を飾るのは理由があります。昔、大変貧しい家があることを聞いた司祭が夜中に煙突からその家に金貨を投げ込んだところ、その金貨は洗濯して干してあった靴下の中に入ったという話がサンタクロース、靴下とプレゼントの関係の起源となっているそうです。
 この日本で生まれたクリスマスブーツ、日本人が「包装にこだわる」という文化があることに関係しているので広まったとも言われています。贈り物に「熨斗(のし)」などをつける文化が根底にあるのでしょう。何気ない一つひとつに歴史があることを感じます。
2024/12/02
「人権週間」
 1948年12月10日の国連総会で「世界人権宣言」が採択され、これを記念して12月10日を「人権デー」としています。日本では、毎年12月4日から12月10日までの1週間を「人権週間」とし啓発活動が行われています。
 すべての人が社会の中で、自由に考え、自由に行動し、幸福に暮らせる権利が「人権」です。しかし、今の世の中すべての人権が守られているわけではありません。一人一人がかけがえのない人間としてその存在が大切にされなければなりません。
 一方で一人ひとりの顔が違うようにみんな違った個性や特性をもっています。しかし、一般的にみんな同じであることを平等ととらえる傾向があり、みんなと同じでない行動を「異質」として見てしまうことがあります。一人ひとりの多様性を尊重することができる社会をつくっていく必要があります。
 「人の嫌がることをしない」「相手の嫌な言葉を言わない」がその第一歩です。皆さんが一人ひとり輝くそんな学校をつくっていきましょう。
2024/11/30
7分間の奇跡
 先週、新幹線に乗る機会がありました。きれいに清掃された新幹線に乗車しながら、「7分間の奇跡」を思い出しました。新幹線の掃除を担当しているJR東日本の子会社「テクノハートTESSEI」は、新幹線1両を7分間で清掃を行なう鉄道整備会社です。東京駅で新幹線に乗ると一列に並んでお辞儀をする人の姿を見かけたこともあるでしょう。列車がホームに入る3分前に、1チーム22人が5〜6人ほどのグループに分かれて、ホームに整列し、客の降車後清掃に入ります。1両約25mに約100ある座席の清掃を1人で担当します。ボタンを押して、座席の向きを進行方向に変え、テーブル全てを拭き、窓のブラインドを上げ、窓枠を拭く。座席カバーが汚れていれば交換し、7分以内に完璧に作業を終えます。チームのリーダーは、仕事が遅れが生じたり、不慣れな新人がいる場合には、ただちに応援し、最後の確認作業を行います。7分間で清掃を終えると、チームは再び整列し、ホームで待っているお客様に一礼して、次の持ち場へ移動していくのです。
 機敏な清掃だけでなく、列車到着に合わせて整列して15度の角度で一礼し、重い荷物を持つ客を手助けもします。そのおもてなしは「7分間の奇跡」と呼ばれ、世界中から称賛されています。仕事とはいえ、学べる部分は多いと思います。
2024/11/24
親孝行
 週末に義父の23回忌の法要が営まれました。「孝行したい時に親はなし」という言葉があります。親の気持ちがわかるような年になって孝行がしたいと思っても、もう親はいない。親の生きているうちに孝行しておけばよかったと後悔することが多いということです。私自身ももう両親は亡くなっているので、親孝行しようにもできません。もっとその時、その瞬間に親孝行しておけばよかったと今さらながら思います。当たり前にご飯が準備され、当たり前にお風呂に入れる。当たり前に思っていることが本当は当たり前ではなく、感謝すべきことなのです。
 中学生の時代は反抗期のまっただ中。親のありがたみを感じるどころか、逆にうっとうしいと思うこともしばしばあるかもしれません。親が健在のときには親孝行など考えもしませんが、亡くなってみると、もっと親孝行しておくべきだったと思うのが世の常です。子どもの幸せを願わない親はいません。
 勉強も大切です。友達も大切。でも、親に感謝する気持ちも持てないようなら他人を大切にすることなんて到底できないですね。
2024/11/17
駅伝競走の魅力
 11月15日、県中体連主催駅伝競走大会が野洲市の希望ヶ丘文化公園で開催されました。各ブロックから勝ち進んだ学校(チーム)が近畿大会、全国大会出場を目指して熱戦を繰り広げました。本校の駅伝チームも男女とも大津市の予選を突破し県大会に出場しましたが、上位入賞には手が届きませんでした。しかし、一人ひとりが力走し、襷(たすき)をつなぐ姿に感動を覚えました。チーム一丸となってゴールに向かい、襷をつなぐ選手の姿は見る人の心を動かします。 
 さて、駅伝という言葉は古くから存在し、駅伝誕生のきっかけは鎌倉時代に登場した「飛脚」と言われています。飛脚とは手紙や物などを運ぶ人で、約10kmを交代しながら走り、約500km離れた東京と大阪を3〜4日で運んだと言われています。また、現在のような駅伝スタイルの起源は1917年にまでさかのぼります。この年の4月、この三条大橋を出発して東京の上野・不忍池までの23区間、約500kmで日本最初の駅伝大会が行われたことが起源と言われています。京都の三条大橋近くには「駅伝発祥の地」の記念碑が立っているそうです。世界陸連では、駅伝の国際名称を"Road relay"としていますが、近年までは日本でしか行われていなかった為、"Ekiden"と呼ばれることのほうが多くなっています。
 駅伝の魅力は襷をつないで競争するチーム戦であることです。選手から選手へと襷が渡されるたびに、レース全体の流れが変わり、新しいドラマが生まれます。一人が脱落してしまえば襷をつなぐことができない襷の重みもあります。そこが観客を引きつける魅力となっています。実は私も中学生の頃、この会場で県駅伝に出場したことがあります。ずいぶん昔のことですが、懐かしく思い出しながら選手の雄姿に見入ってしまいました。
2024/11/10
「豊かさ」の基準って何
 「健康」、「やりがい」、「仲間」など「豊かさ」や「幸せ」を感じる基準は人それぞれ違いますが、人は「豊かさ」や「幸せ」を求めながら生きていることは事実です。
 イソップ寓話「アリとキリギリス」の話は多くの人が一度は聞いたことがあるでしょう。キリギリスは今の幸せのために蓄えることもなく毎日を楽しく過ごし、アリは将来のために今を我慢して蓄えを行い、冬が来て、蓄えていなかったキリギリスは冬を越すことができず、蓄えのあったアリは冬を越すことができたという話です。
 今を幸せに過ごしつつ、同時に将来への蓄えもできたら最高ですがなかなかそうもいかず、多くの人は、「将来の幸せ」のために蓄えようと一生懸命に働き、少し我慢して生活しています。辛い人生を歩んで最期の一瞬だけ幸せを感じるよりも、幸せな時間をなるべく多く過ごすことが「豊かな人生」なのかもしれません。普段の生活をいかに幸せな時間として過ごしていけるかで人生の豊かさが決まるのではないでしょうか。毎日たくさんの笑顔とたくさんの感謝で心を幸せにして生きていくことが大切ですね。
2024/11/04
大谷翔平選手から学ぶ
 メジャーリーグのワールドシリーズ、大谷翔平選手が所属するドジャースがワールドシリーズ制覇を果たしました。メジャーリーグとは、アメリカ(29球団)とカナダ(1球団)に本拠地を置く30球団で構成されるプロ野球リーグ(日本のプロ野球は12球団で構成)です。これまでも多くの日本人がメジャーに挑戦しています。日本人メジャーリーガーのパイオニアとして野茂英雄投手、メジャーリーグの年間最多記録となる262安打を放ったイチロー選手、ワールドシリーズで日本選手初のMVPを獲得した松井秀喜選手など、野球を知らなくてもその名前は聞いたことがある人も多いでしょう。中でも日本人選手として大谷翔平選手は「二刀流」で有名です。今季は野手として活躍し、54本塁打、59盗塁の記録的活躍が注目を集めました。
 大谷選手が高校生の時に9マスの思考法「マンダラチャート」を書いていた話は有名です。このチャートには、目標が細かく設定され、その目標には「プロ野球8球団からドラフト一位指名」が書かれていました。当時から高い所に目標を設定していたということです。自分の目標を言葉にして、いつも目にすることで、常に目標を意識して過ごすことができます。もう一つ、「ゴミを拾う」という花巻東高校時代の佐々木監督による教えを大切にしてました。「ゴミは人が落とした運。ゴミを拾うことで運を拾う。そして、自分自身にツキを呼ぶ」。この教えを大切にして、メジャーリーグに行ってからも、ゴミを拾う姿が度々話題にあがりました。整然とした場にいると、生活の質も上がり、心もすっきりとします。自分の周りを「清める」ことが大切ということですね。また、大谷選手は、ほとんど外食をせず、健康にいい食事を心がけるとともに、十分な睡眠をとることを重要視しています。超一流の結果を出すためには、体調管理の入念さも人並み以上ということですね。
 しかしこれらのことは大谷選手でなくとも誰もがやろうと思えばできることです。それが続けられるかどうか。大谷選手から学ぶことは徹底する、やり切ることにポイントがあるように思います。
2024/10/26
アンガーマネジメント
 「こうあるべきだ」という自分の考えと違うことが起こった時、人は「怒り」の感情をもちやすくなります。例えば、約束の時間に友人が遅刻した場合、自分の中に「時間は守るべき」という「べき」があり、それと違う行動に「怒り」の感情をもってしまうなどです。遅刻を肯定しようとは思いませんが、「怒り」の感情をそのまま口に出してしまうと考え方の違いで喧嘩になってしまうこともあります。遅刻した友人に怒ったとしても、「それくらいで怒るべきではない」と考える人もいます。そうなると今度は「遅刻したことを謝るべきだ」と考えてしまって、もっと怒ってしまうことになります。
 「アンガーマネジメント」という「怒り」の感情をコントロールするための「6秒ルール」という広く知れた理論があります。怒った時に一番イライラするのは最初の6秒くらい。その6秒だけ少し我慢すると冷静に自分の感情をコントロールできるというものです。「短気は損気」というように、怒りっぽい人は損をしていることが多いです。小さなことで怒ってばかりいると、人間関係も悪くなるだけです。まずは深呼吸して6秒我慢。大切なことはイライラの感情をぶつけることではなく、落ち着いて自分の気持ちを伝えることです。

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