校長室より

2024/02/26
「一期一会」
 一期一会(いちごいちえ)と読みます。江戸後期の代表的な大名茶人として知られた井伊直弼が執筆した「茶湯一会集」の冒頭部分に「一期一会」とあり、千利休の茶をよく学んだ直弼が利休の言葉「一期に一度の参会の様に」を引用し、心を尽くして出会いを大切にしようとの思いを込めた言葉とされています。
 「人との出会いや物事を行う機会は生涯で一度きりであり二度と同じ機会は訪れない、だから一度きりの機会を大切にしなさい」という意味で用いられ、日本の茶道において一度きりの出会いや瞬間を大切にする心構えを表す言葉です。お茶会に臨む際には、今後、お茶会を開く機会があったとしても、全く同じものを繰り返すことはできないので、常に人生で一度きりと心得て、相手に対して精一杯の誠意を尽くすことを重要視されています。この言葉は、茶人たちが互いに敬意を払い、その場の雰囲気や会話を大切にすることを意味するものとして茶道の精神を象徴としてのみならず、今の世の中でも通用する考え方です。
 私たちの人生は、出会いの連続です。家族や友人、仕事仲間などたくさんの人たちとの出会いがあります。たとえ毎日同じ人と同じ場所で、何度出会いを重ねても、やはり毎日が「一期一会」で同じ日はなく、戻ることもできません。だから今日という日はかけがえのない一日だと感じることができれば、いつもの平凡と思っている日常が違ってみえるのではないでしょうか。その日一日、目の前のことに誠意を持って自分も周囲の人たちも大切にして生きることが大切ですね。3年生の皆さん、学校へ来る日も残り少ないです。「一期一会」です。
2024/02/19
蛍雪の功
 苦労して勉強することを意味することわざです。中国の故事に由来があります。
 中国、三国志の少し後の東晋王朝の時代、2人の貧しい青年がいました。2人はいわゆる官僚を目指し勉学に励んでいましたが、夜に勉強するための明かりに使う油を買うお金がありませんでした。そのため一人は夏の夜に蛍を何匹も捕まえて絹の袋に入れ、もう一人は冬の夜に窓辺に雪を積み上げ雪の反射を利用し、それぞれ蛍と雪の反射を明かりに使い勉強を続け、その結果、努力が実り、2人とも官僚になり、出世したという話です。
 この故事に登場する蛍と雪が蛍雪という言葉になり、さらに経験や努力が積み重なって得られる成果という意味の「功」と結びつき、蛍雪の功という故事成語が生まれました。卒業式の定番である「蛍の光」の一番には、「蛍の光 窓の雪」という歌詞があります。苦労しながら一緒に勉強に励んできた同級生との思い出を歌っています。3年生の皆さん、受験の真っただ中で大変ですが、もうひと頑張りです。
2024/02/12
祝日
 国民の祝日に関する法律では、年間に計16の日が「国民の祝日」とされ、それぞれの日の趣旨が定められています。1年間の祝日数は先進国の中で最多といわれます。元日、成人の日、建国記念の日、天皇誕生日、春分の日、昭和の日、憲法記念日、みどりの日、こどもの日、海の日、山の日、敬老の日、秋分の日、スポーツの日、文化の日、勤労感謝の日がこれに当たります。現在は年16日間、6月と12月だけが祝日がありません。
 思い返すと、子どものころ、体育の日(今のスポーツの日)は町内の地域対抗の運動会が小学校のグランドで開催されており、お店も並び、大変盛り上がっていました。大人になった今より昔の方が、祝日に対しての意識はある意味高かったのかもしれません。子どものときの祝日の記憶が今でも色褪せることなく私の中にあることを考えると、祝日は普通の日とは違う、特別な日だったのですね。
 今日は振替休日。休日(主に祝祭日)が他の休日(日曜日、他の祝祭日など)と重なった場合、月曜日以降を休日にして休日が減らないようにする制度があり休みでした。豆知識です。
2024/02/05
「耳には特有のアンテナがある」
 自分自身で人生を変える以外に、言葉や人との出会いによって人生が変わることもあります。どちらかといえば言葉や人との出会いによって人生を変えるきっかけをもらうことの方が多いかもしれません。言葉や人との出会うチャンスがあっても、それを感じとる力がなければチャンスを生かすことはできません。同じ景色を見ても、美しいと思う人もいれば、何とも思わない人もいます。同じ人と出会っても、同じ本を読んでも、アンテナを張っていなければ、すべてスルーです。
 人間の身体は都合よくつくられていて、自分がしたいことや興味があること、好きなことに対して無意識にアンテナが高く張られます。興味があること、好きなことには、自然と情報が集まるようになっています。夢や目標を持っている人は、その方向の情報をキャッチしやすくなり、結果的にその願いが叶っていくことが多いです。これは「カクテルパーティー効果」とも言われ、パーティーのように、たくさんの人がいる中でも、自分が興味のある人の会話、自分の名前などは、自然と聞き取ることができます。学校の中でも同様の体験があることでしょう。耳には特有のアンテナがあるってことですね。
2024/01/29
入試と朝ごはん
 いよいよ県内外私学、公立特色推薦選抜等、高校入試が本格的に始まります。「早寝早起き、朝ごはん」という言葉をよく耳にします。普段から習慣にしてほしいことですが、特に入試の日の朝ごはんはしっかり食べることが大切です。朝起きたときの脳は、栄養が不足しています。寝ぼけていたり、起きるのが辛かったりするのは、実は脳が栄養不足の状態だからです。朝にごはんやパンなどの炭水化物をしっかり取り、脳の働きに必要なブドウ糖を補うと脳が活性化し、ベストな状態に近い力が発揮できると言われています。
 また、試験が終わった直後にその教科の振り返りをするのは禁物です。振り返りによって逆に落ち込み、次の教科の試験に支障をきたす場合があります。「自分が難しいと感じたテスト、きっとみんなも難しかったに違いない。」とポジティブに考え、気持ちを切り替えて次に臨むことが大切です。
2024/01/23
信頼を得る
 「そんなことはいちいち言われなくてもわかっています」と言う人がいます。しかし、そういう人に限って当然すべきことができないことが多いと感じるのは私だけでしょうか。
 世の中で一番難しいことは、誰でもわかっていること、誰でもがやればできることをやり通すことではないでしょうか。「気持ちの良い挨拶をする」とか、「笑顔で人と接する」とか、「相手の気持ちに寄り添う」とか、「明るく元気でいる」とか、「粘り強くコツコツ頑張る」とか、「掃除をしっかりする」とか、「ウソをつかない」とか、そもそも小学生でも分かることを大人でも出来なかったりします。これらのことがきちんと出来るだけでも信用を得ることができます。
2024/01/09
3学期始業式
 3学期始業式で話をした内容です。

 皆さん 新年明けましておめでとうございます。まず初めに、1月1日に能登方面で発生した地震により、お亡くなりになられた方に衷心よりお悔やみ申し上げます。また、被災された方々に対しましても心よりお見舞い申し上げます。
 さて、今日から3学期がスタートします。学校の1年は4月に始まって3月に終わります。これを「年度」と言います。ですから、今日の始業式も令和5年度の3学期始業式です。そういう意味では3学期は1年間の「まとめの時期」になります。
 「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」の言葉の通り、あっという間に月日は経過していきます。学年の集大成の3学期。一瞬一瞬の今を大切に生活していきたいものです。
 私は「今を生きる」という言葉が好きです。「過去を 悔やむより 今を考える 未来を変えられるのは 今の自分だけ」です。これまでたくさん失敗をしてきたかもしれませんが、いくら過去を悔やんでも何も変わりません。変えられないものを変えようとしても、何も進みません。変えられるものは今の自分しかない。もしも、過去について考えるなら、そこから何が学べたのかを考えること。そして、それを活かして、今後はどうしたほうがよいのか考えること。失敗を失敗のままとせず、未来の自分に活かすこと。その繰り返しが自分を成長させることに繋がります。さあ、3学期もあっという間に過ぎ去っていきます。今を大切に学校生活を過ごしていきましょう。
 話は変わりますが、私の父は扇子職人でしたので昔から身近に竹の存在がありました。青々とまっすぐに成長するのが竹です。あれだけまっすぐに伸びるためには「節」の存在が欠かせません。節のおかげでしなやかでまっすぐな成長ができるのです。この3学期は、まさに竹の節にあたります。特に3年生は、進路を決定していく大切な時期です。どうか、3学期は、竹の節のような節目の時期であるという意識を持ち、自分にしっかりと向き合いながら学校生活を送っていきましょう。2年生の皆さんにとっては、3学期は3年生への0(ゼロ)学期です。3学期は仕上げと同時に3年生への出発の時でもあります。3学期は是非このことを意識してください。1年生の皆さん、もうすぐ後輩が入学してきます。中学校は大人になる準備をするところです。少し慣れが出てきたせいか、心ない行動をする人も見えてきました。もっと高めていけるようにすること、それが大人への第一歩です。
 3学期、最高の仕上げができるよう皆さんに期待しています。
2024/01/01
初春
 1月1日のことを元日、または元旦と言いますが、「元」の字には初め、「旦」には日の出、朝という意味があります。また、元旦は「1月1日の朝」、元日は「1月1日の丸一日」とその意味合いによって使い分けがあります。
 本来のお正月には、「年神様を家に迎い入れ、お祝いをする」といった意味があります。今も元旦に門松で子孫繁栄や五穀豊穣をもたらす神様で1年の健康や幸せをもたらしてくれる年神様を迎え、お雑煮やおせち料理を食べて新年を祝う風習が多くの地域で残っています。
 ところで大晦日の夜から1月2日かけて、最初に見た夢を「初夢」と言います。初夢で一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなす)を見ると縁起がいいといわれています。1番目は富士山、2番目は鷹、3番目は茄子の順番で見ると、最も縁起がいいといわれています。「富士は不死、鷹は高い、茄子は成す」を表しているそうです。
 新しい年を迎え、また気持ちを入れ直す大切な節目です。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2023/12/28
ごちそうさま
 「ごちそうさま」漢字で書くと「御馳走様」です。この中にある「馳走」とは、馬に乗って駆け巡ることだそうです。
 海へ山へと馬を走らせ、食材を集めて料理してくれて「ありがとう」と準備してくれた人や作ってくれた人への感謝の言葉です。店の料理も、家庭の料理にしても、スーパー屋に並べられている食材も一つひとつは誰かが作ってくれています。
 世界には「いただきます」や「ごちそうさま」という意味の言葉がない国も多くあるそうです。日本では多くの人が当たり前に「いただきます」や「ごちそうさま」を言います。いただく食べ物は、動物、魚などの命をいただいていて、農家さんが一生懸命育ててくれた物を口にするのですから、「いただきます」や「ごちそうさま」はしっかりと言いたいものです。
 いよいよ2023年から2024年に変わるカウントダウンの時期です。暴飲暴食、夜更かし等生活リズムが崩れないよう注意しながら新年を迎えてください。それではよいお年をお迎えください。
2023/12/22
2学期終業式
2学期終業式を迎えました。終業式で話した概要です。

 2学期を振り返ると、9月に文化祭、10月には体育祭がありました。特に文化祭の合唱コンクールでの3年生の合唱は大変心に響く素晴らしいものでした。2年生は直接会場で3年生の合唱を聞き、その迫力に驚いたことでしょう。練習段階から一生懸命取り組む皆さんを見て大変うれしく、打出中学校の生徒って素晴らしいなとつくづく感じることができました。体育祭も今年は全校で一斉に開催することができました。他の学年を応援する姿を見て良き伝統を再確認しました。ありがとう。

 さて、私から冬休みを迎えるにあたり、「植物の根っこ」の話をしたいと思います。植物にとって、根っこは水や養分を吸収したり、体を支えるための大切な器官ですが、いつ植物の根っこは伸びるのでしょうか。水栽培されているヒヤシンスなどの球根を見ると、短い根が出ているだけで、根っこはあまり伸びていませんし、細かい根はほとんど生えていません。水が十分にある中では、必要以上に根を伸ばす必要がないからです。逆に水がないところでは、植物の根は水を求めてグッと深く伸びます。そして、根を四方八方に張りめぐらせ、大地をしっかりとつかむそうです。
 根が成長するのは、条件に恵まれたときではなく、苦しい環境のときにこそ、根が伸びます。根っこがなければ、植物はたちまち干上がってしまうし、根っこが十分に張っていないと、茎が簡単に倒れてしまうように、人間にとっても「根っこ」は大切なものです。
「根気」や「根性」、「根本」など、人間の本質を表す言葉に「根」という言葉がよく使われることからもわかります。

 毎日、水を与えている庭の草花が夏の日照りでしおれているのに、誰も水をやらない道ばたの雑草は青々と茂っている状況を見たことあるでしょう。雑草に水をやる人はいません。だからこそ、毎日、水を与えられている草花とは根の張り方が違うんです。土の下に伸びた根っこは、目に見えないけれど、その植物の実力そのものです。
 環境が恵まれていようが、いまいが、関係ないです。雑草のごとく、根っこを深く、強くしていきたいものです。

 最後に、「一年の計は元旦にあり」と言います。新しい年を迎えるにあたり、その年に成すべきことを、年の初めに計画を立てる。そうすることで、その一年が有意義な一年になります。年の初めという節目の時、自らを変化し、成長させるチャンスです。では、1月9日、「おはよう」の挨拶と共に皆さんに会えることを楽しみにしています。2学期、いろいろとありがとう。

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