校長室より
2023/10/02
天使のささやきと悪魔のささやき
私たち教師も人間ですから、辛い時や逃げたい時もあります。人間の心の中には『天使と悪魔』がいます。私たちもよく「目標を立てて頑張れ」と口にします。でも、できる人とできない人が実際にはいます。できない理由の多くに時間がないとか、今は必要でないとか、そんな言い訳で自分を正当化しようとしています。自分の心の中の悪魔が「大丈夫だよ、あなただけではない。皆やってないよ。」とささやくのです。そのささやきに自分を納得させてしまいます。逆にやりきる人は、悪魔のささやきの中で、天使のささやきが聞こえてきます。「今やらなければいつする。今それをすることが大切なんだ。」との言葉に悪魔のささやきに打ち勝つのです。
よく「心の葛藤」と言いますが、葛藤とは、このささやきのことを言うのかもしれません。皆さんはどちらのささやきをよく聞きますか。
『成せば成る。成さねば成らぬ。成らぬは人の成さぬなりけり。』
2023/09/26
「心と体の成長を感じた素晴らしい合唱コンクール」
打出中学校文化祭での合唱コンクールが行われました。どの学年も、どのクラスも素晴らしい合唱でした。ありがとう。合唱は何よりそれぞれが歌う気持ちを持たなければ成り立ちません。また、全員の声を合わせてハーモニーを生み出していかなければなりません。全員で練習を積み重ねていくうちに、音楽的な学びだけではなく、お互いを思いやる気持ちや仲間への感謝などを自然に学び、成長していくものだと思っています。その成長が大きく感じられた素晴らしい打出中学校の合唱コンクールでした。
1年生は初めての合唱。みんなで一つの曲を仕上げる難しさを感じたことでしょう。どのクラスも立派に歌い上げたことに成長を感じます。2年生は昨年の合唱に比べて格段に気持ちの入れ方も変わり、声量もアップし、心と体の成長を感じました。中でも3年生はさすがでした。圧巻というか聴いている人を感動させるような歌声を響かせてくれました。大人の声質に変わってきたことに加え、合唱に対する心の叫び、熱い思いが会場全体に熱く伝わっていく感覚を覚えました。心の中がものすごく潤ったように思います。
審査員席から合唱を終えた皆さんが席に戻る時の顔を見ていました。どの学年、どのクラスもそれぞれ歌い切った満足感、やり終えた充実感をもった表情をしていました。合唱を通して多くの学びと自信を持ってくれたことが感じられ、とても嬉しかったです。
打出中学校の皆さん。本当にありがとう。
本年度の文化祭も「打出うどん」「ブックカフェ」をはじめ、多くの保護者の皆様や地域の皆様に協力していただきました。ありがとうございました。
2023/09/11
「間」
電車に乗るとき、空いている電車であれば隣の人との距離を空けて座る人が多いのではないでしょうか。人は無意識のうちに他人との間に距離をとって、快適な空間を保とうします。この空間のことを「間」といいます。親しい相手とはその空間を狭くなり、親しくない人相手との間では、十分な空間を確保できないと不快感を覚えてしまいます。あるアメリカの文化人類学者は、相手と自分の距離が45〜75センチでは親しくなければ、違和感をおぼえる空間。75〜120センチでは個人的な話をするときに程よい空間としています。個人差はありますが、程よい空間のなかに親しくない人が入ると、不快感をおぼえることが多くなります。
「間」にはいろいろな意味があります。@物が並んでいる空間。A部屋。B畳の大きさ。C連続している事と事のあいだの時間。D話の中に適当にとる無言の時間。E演劇などでせりふとせりふなどのあいだの時間。
人間関係をよりよくしていくためには、@のお互いに居心地のよい距離感を大切にすることです。言い換えると、自分が辛くなったり、悲しくなったり、悩んでしまったりしないで済む距離です。そして阿吽の呼吸で会話ができれば人間関係は自ずとよくなっていくものです。
2023/09/04
「カバタ(川端)」の暮らしに学ぶ
滋賀県高島市新旭町針江地域。カバタ(川端)の水文化で有名な場所です。比良山系に降った雪や雨が伏流水となって湧き出る川の水や井戸水を家の中に引き込み、洗い物や飲み水などに利用しています。この水場のことをカバタ(川端)と言います。針江地域では各家庭に地下から湧き水が自噴しており、水温は年間を通してほぼ一定。夏は冷たく冬は温かで地域内に張り巡らされた水路が家と家をつなぎ、鯉が自由に泳いでいます。各家のカバタは、元池、壷池、端池(はたいけ)の3つの場所から成り、湧き水を取り入れる<元池>、水をくみ上げる<壺池>、あふれ出た水を溜めておく<端池>の機能となっています。壺池は飲み水に、端池は野菜や食器などを洗う水として利用され、野菜の洗いかすや食器についたご飯粒などは鯉が餌として食べ、水はいつも浄化されます。泥のついたものはタライで下洗いをし、すすぎだけカバタで行う。そんな暗黙の約束事が守られ、下流への配慮が根づいています。針江に住む個々の人々の相手を思いやる心がなければ成り立たないカバタの素晴らしい文化です。人間関係を円滑にするヒントがあるようです。
2023/08/29
校訓 「明朗 闊達 自主 力行」
打出中学校の校訓は「明朗」「闊達」「自主」「力行」の四つの言葉で成り立っています。「明朗」とは明るくて朗らかなさま。「闊達」とは心が大きく、小さな事にこだわらないさま。「自主」とは他の力に頼らないで自分ことは自分でするということ。「力行」とは力を尽くして行なうこと。「自主」は「自立」とも言います。赤ちゃんは、オギャーと泣くことはできても、ほとんど自立はできず親に頼らなければなりません。また、歳をとったり病気になったりすれば、自分ですることができないこともたくさん出てきます。心も体も大きくなり、立派な中学生である皆さんは自分の日常生活を振り返ってみてどうでしょうか。いろんなことを誰かにやってもらうのが当然だと思ってはいませんか。自分の力で一度頑張ってみる、これが「自立」の第一歩です。
もう一つ、同じ「じりつ」でも「自律」という言葉があります。自律とは「自分を律する」ということ。皆さんはちょうど大人になる入り口に立っており、時には子ども、時には大人とみなされます。正しい判断や行動が求められる上に周りの人とうまく関わっていくために、自分の気持ちをコントロールする力が必要となります。ここには我慢もひつようになります。
指示されなくても自分で考えて行動を起こすことこそ自立・自律であり、「自主」です。打出中学校の生徒ならやってくれる、やれる気がします。頑張っていきましょう。
2023/08/21
「五事を正す」(中江藤樹)
「近江聖人」と称えられた儒学者の中江藤樹は「人は誰でも天から与えられた美しい心を持っている」と信じ、その美しい心を「良知」と呼びました。現在の滋賀県高島市安曇川町の出身です。私はこの安曇川出身ですので身近に中江藤樹先生の教えを幼いころから学んできました。藤樹先生の日常で心掛けたい5つの教えを「五事を正す」といいます。「五事」とは、「貌(ぼう)」「言(げん)」「視(し)」「聴(ちょう)」「思(し)」です。「貌」=和やかな顔つきで人と接し、「言」=思いやりのある言葉で話しかけ、「視」=澄んだ目で物事を見つめ、「聴」=耳を傾けて人の話を聴き、「思」=真心を込めて相手に接することです。
私たちは、互いに支え合って生きています。よりよい人間関係を築くには、自分の思いばかりにとらわれず、自らを律したうえで、どのように周囲の人々に尽くし、協力していけるかを考えることが大切なのではないでしょうか。少しでも、近づけるように日々精進していきたいと思います。
今週末から2学期が始まります。元気な笑顔で会えることを楽しみにしています。
2023/08/01
『17年ゼミの秘密』
8月になりました。連日暑い日が続きます。さて、セミの一生って知っていますか。幼虫の期間は種類によって異なりますが、短くても3年。クマゼミは5〜6年間土の中で過ごします。でもどのセミも成虫の期間は約1か月と短いのです。それだけ長い時間をかけて成虫になるセミですが、種類によってはもっと長く幼虫として地中で過ごすセミもいます。
『17年ゼミ』と言われる種類で、名前の通り17年間も地中にいます。地上に出てきて1ヶ月は「子孫を残す」ことが大きな仕事になります。この17年ゼミはきっちり『17年間』地中にいて、17年毎に一斉に成虫になるそうです。少しずれて16年や18年で成虫になってもおかしくないだろうにと思うのですが・・・。
セミ同様、私たちも限りある命を生きています。一度きりの人生だからこそ「期限」からは逃げられません。どうせ生きるなら未来の自分を大切に大きな夢を描きたいものです。何もしなければ夢は実現しません。その実現のためには「期限をどこに設定するか」「目標をどの高さまでもっていけるのか」が大切になると思います。たっぷりと時間のある今、自分の将来に思いをはせる時間が取れるはずです。ぜひ考えてみてください。
2023/07/18
常識を変える
虹は何色ですか。七色です。松田聖子の「硝子のプリズム」の歌にあるように虹の色は一般的に外側から順に「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」と考えられています。ちょっと古いですかね。でもこれは日本人での認識であり、世界共通の認識ではありません。例えば、アメリカやイギリスでは6色、ドイツやフランスでは5色、インドネシアでは4色と考えられているようです。
日本では昔から虹は7つの色からできていると言われていますが、虹の持つ意味や言い伝えなどを紹介します。この七色は人間の体にある7つのエネルギーの入り口を意味していると言われています。尾てい骨、下腹部、おなか、胸、喉、眉間、頭頂です。虹は浄化も意味しているとされ、虹を見ることで乱れていたエネルギーが入れ替わって心身ともに元気になることができるそうです。
2023/07/10
顔が見えないからこそ
スマホは、非常に便利な道具ですが、使い方を誤ると友人関係のトラブルや犯罪に巻き込まれたりする危険性があります。また、そのつもりがないのに自分が誰かを攻撃してしまうなどの加害者になる危険性もあります。トラブルの多くは、メール、サイトを閲覧したり、様々なアプリを利用したりすることで起きます。便利なアプリが知らないうちに、個人情報を流出させているかもしれません。危険性があることもよく理解した上で使用することが大切です。LINEやTwitterなどのSNSの利用で誹謗中傷やいじめなどに発展するケースがあります。直接面と向かって話をしているわけではないということも相まって、相手のことを考えた発言ができなくなってしまうのでしょう。「ここにはいないから」という安心感もあるのだと思います。
顔が見えないSNSの場だからこそ、利用に関して、必要以上に注意をすることが大切です。もう少しすれば夏休みに入ります。スマホだけでなく、様々な行動をする前に「これでいいのか」を考えながら行動することが大切ですね。
2023/07/03
横文字社会
最近「インフルエンサー」という言葉をよく耳にします。意味は、世間に大きな影響を与える人とか人々の購買活動に強い影響を与える人を指すのだそうです。これまではテレビなどで活躍する有名人がインフルエンサーでしたが、最近では「ユーチューバー」がインフルエンサーの代表的存在だそうです。新型コロナ感染症によりカタカナ語が急増したように感じています。「クラスター」「ソーシャルディスタンス」。次々と登場する新しい言葉に私だけが混乱しているのでしょうか。クラスターは集団感染、オーバーシュートは感染爆発、ロックダウンは都市封鎖の方がわかりやすい気もします。
初めて聞く言葉を使うことで、メディアや国民が注目し、話題を集めやすくしているのかもしれませんし、正確な日本語訳がないのかもしれません。「都市封鎖」と聞くとその言葉に恐怖心をあおられるのかもしれません。と考えると表現を柔らかくするために敢えて使っているのかもしれません。バランスが難しいですね。