校長室より
2023/11/20
ブーメラン効果
相手を一生懸命説得しようとすればするほど、反発により逆の行動に導いてしまう現象のこと「ブーメラン効果」と言います。自分の行動を他人に強制されると、それに反発したくなるものです。「勉強しなさい」と言われてやる気がなくなった、という経験を持つ人も多いでしょう。「買わないと損ですよ」と強く勧められると買いたくなくなる。こういうのもブーメラン効果です。同じ意見をもつ人から説得される時や信用していない相手から説得される時にブーメラン効果が起きやすいと言われています。親は子どもの勉強に関して心配しがちですが、勉強に話題がかたより過ぎていると「自分でそうしようと思っていたのに!」と反発を招きます。他の話題でリフレッシュできたほうがやる気も湧いてくるものです。勉強のことは、幅広い話題のうちのひとつと考えることが大切かもしれません。
2023/11/13
ないものねだりとあるもの探し
私たちは誰かが持っていて自分は持っていない「ないものねだり」をしてしまいがちです。「ないものねだり」は仮のそのものを得ても、また次の「ないものねだり」に続き、尽きることはありません。しかし、自分は気づいてなくても、他人から見れば自分は多くのものを持っている場合もあります。自分にないものを探すより、あるものにもっと目を向けて自分の中の「あるもの探し」を行う、そしてそれを伸ばすことに力を尽くすほうが大切ではないでしょうか。「ないものねだり」によって、自分が努力するためのエネルギーに変えられるのならいいですが、単にひがみで止まってしまうなら無意味ですね。気づけていないだけで、誰もがきっと他の人にはない特技やできることを持っているはずです。もっと自分の力や魅力を大切に育ててみませんか。
2023/11/06
「言霊(ことだま)」
昔から「言葉に宿るエネルギー」のことを「言霊」と言うそうです。『命』の人文字ギャグで人気を博したタレントのゴルゴ松本さんは全国の少年院をめぐり、若者たちに「『命』の授業」を行っています。その著書「命の授業」も有名ですが、ゴルゴ松本さんはこんなことを言っています。「苦難・困難・災難など、『難』という言葉には避けたい事柄が多い。でも『無難』な人生なんて、他の人に比べて無難なだけで実際はありえない。有ることが難しいから『有難い』」。納得する言葉です。「ありがとう」や「大好き」「うれしい」などの言葉には「プラス(+)のエネルギー」が宿り、「ウザイ」とか「イヤ」という言葉には「マイナス(−)のエネルギー」が宿っていると言われます。言葉は相手だけでなく、発した自分にもプラスやマイナスのエネルギーとして返ってきます。何かの言葉に心が癒され、勇気づけられるように、言葉には人の心を動かす魔法があります。いい言葉に触れることで心は潤い、また前に進む勇気を与えてもらえます。
言葉づかいを変えれば、考え方も変わってきます。例えば、
「どうせできないもん」→「とにかくやってみよう」。
「あーっ疲れた」 → 「よくがんばったぁ」。
「すみません」 → 「ありがとう」。
私も常に意識したいと思います。
2023/10/31
人生初のグリーン車(時間をお金で買う)
先週、全国の校長先生が集まる会議が2日間あり、大分・別府に行ってきました。大まかな日程はわかっていましたが、最終日は会場から駅までの移動手段やかかる時間も不明でしたので初日の会議終了後に帰りの切符を手配する計画でした。ところがどの列車も満席で早くても駅で2時間半待つ必要あり。それもグリーン車しか空いていないとのことでした。別府から大津まで5時間の道のり。これ以上は待っていられないとしぶしぶお金を余分に払って切符を手に入れました。私たちは意識的に少しお金を払って、時間を少し得ることはできます。でも時間が買えると幸せかどうかはそこに相関関係にはありません。お金を使って時間を買える人は、時間を得るためのお金を持っているから幸せなのかもしれません。時間のために、意図的にお金を使うとはいえ、多くの人はお金を払って自分の時間をつくるような経済的な余裕はないでしょう。そこにはその時々の意識的な判断の下での価値づけが重要です。
時間を買う秘訣は、お金によって得られた時間をどう使うか。お金を出して時間を得ることに価値があると感じられる場合だけ幸せにつながります。人によっては例えば、家の掃除をする時間や手間の代わりにお金を支払い、そのできた時間で家族や友人と一緒に過ごすことに価値を見出すならそこにはお金を払う価値があります。読書をするための時間確保に、愛犬と過ごす時間の確保のために。人それぞれ価値は異なります。いづれにしてもその時こそ自分がお金を出してちょっとした幸せが買えることになります。
さて、私の場合はどこに価値を見出していけばいいでしょうか。もう少し計画性をもった行動をしなければならない自分へのお勉強代です。でも、初めてのグリーン車を経験したことは幸せなことかな。
2023/10/23
いい香り
校内のあちらこちらに金木犀(キンモクセイ)が植わっています。今年も橙色の花をつけ、いい香りを放ってくれています。秋の訪れを感じさせる金木犀は、小さな橙色の花をつけることや、強い香りがあることにちなんで「気高い人」「真実」「真実の愛」という花言葉がついています。花びらの小ささから控えめな印象もあり「謙遜」という花言葉もあります。ところで銀木犀(ギンモクセイ)って知っていますか。真っ白な金木犀に似た花をつけます。真っ白な綺麗な花から「初恋」「高潔」の花言葉がついています。金木犀はいたるところで見ることができます。忙しい毎日ですが、銀木犀にも出会えるといいですね。この季節、ゆっくり深呼吸をしてゆったりと金木犀の香りを嗅いでみてはどうでしょう。
2023/10/16
何のために働くのか?
「働く意味って何だろう」。社会が豊かになり、職業や生き方も自由に選択できるようになった今、働くことの意義について疑問をもつ人も多いと聞きます。昔は生きるため(食べるため)に仕事をしなければならない現実がありました。豊かになった今、ただ「働かなければならない」だけでは、「働く意義」を見出せなくなっているのかもしれません。お金を得て生活していることから、「働く=お金を得る」という捉えは否定しませんが、それだけではないことも事実です。「お金」があまり入ってこなくてもイキイキと働いている人たちがいます。どちらかというと「お金」よりも「働き」そのものに充実感を感じているようにも思います。
一生遊んで暮らせるなら幸せでしょうか。人間は、「働く」ことからしか得ることのできない充実感ややりがい、満足感に価値を見出す生き物であるようにも思います。「働く意味」とは、お金を稼ぐ手段であると同時に、働くことでしか味わうことのできない人生の充実感を味わうためのものであるのでしょうね。2年生の職場体験学習も始まります。短い期間ではありますが仕事について考えを深められるといいですね。
2023/10/09
全力を出し切った体育祭
曇り空の中でしたが、10月5日に4年ぶりに全校一斉での体育祭を開催することができました。開会式当初は小雨がぱらつき、肌寒い天候でしたが、熱戦が繰り広げられ、大きなけがもなく無事終了することができました。大勢の保護者の皆様に観戦いただき、大いに盛り上がった体育祭でした。行事のたびに「どうせやるなら一生懸命取り組もう。一生懸命取り組んだ後には、よかった、うれしい、悔しい・・・何らかの感動が残ります。この感度が大切。」と話しています。皆さんが行事に対して熱心かつ全力で取り組んでくれる姿に加え、全力を出し切った仲間を讃え合える雰囲気を感じ取ることができ、大変うれしい気持ちになります。
昨年は学年ごとでの開催でしたが、今年は全校一斉。先輩の頑張る姿を直接目の当たりにすることで打出中学校の良き伝統が継承されていきます。本校の生徒は何事にも一生懸命に取り組むだけでなく、友達の頑張りを認め、素直に応援できるところが何よりの強みだと思っています。
行事を通して大きく成長する姿があります。教師もまた同じように成長させてもらっています。本当にありがとう。これからも集団としての一層の高まりを目指して頑張っていきましょう。繰り返しになりますが、ありがとう!
2023/10/02
天使のささやきと悪魔のささやき
私たち教師も人間ですから、辛い時や逃げたい時もあります。人間の心の中には『天使と悪魔』がいます。私たちもよく「目標を立てて頑張れ」と口にします。でも、できる人とできない人が実際にはいます。できない理由の多くに時間がないとか、今は必要でないとか、そんな言い訳で自分を正当化しようとしています。自分の心の中の悪魔が「大丈夫だよ、あなただけではない。皆やってないよ。」とささやくのです。そのささやきに自分を納得させてしまいます。逆にやりきる人は、悪魔のささやきの中で、天使のささやきが聞こえてきます。「今やらなければいつする。今それをすることが大切なんだ。」との言葉に悪魔のささやきに打ち勝つのです。
よく「心の葛藤」と言いますが、葛藤とは、このささやきのことを言うのかもしれません。皆さんはどちらのささやきをよく聞きますか。
『成せば成る。成さねば成らぬ。成らぬは人の成さぬなりけり。』
2023/09/26
「心と体の成長を感じた素晴らしい合唱コンクール」
打出中学校文化祭での合唱コンクールが行われました。どの学年も、どのクラスも素晴らしい合唱でした。ありがとう。合唱は何よりそれぞれが歌う気持ちを持たなければ成り立ちません。また、全員の声を合わせてハーモニーを生み出していかなければなりません。全員で練習を積み重ねていくうちに、音楽的な学びだけではなく、お互いを思いやる気持ちや仲間への感謝などを自然に学び、成長していくものだと思っています。その成長が大きく感じられた素晴らしい打出中学校の合唱コンクールでした。
1年生は初めての合唱。みんなで一つの曲を仕上げる難しさを感じたことでしょう。どのクラスも立派に歌い上げたことに成長を感じます。2年生は昨年の合唱に比べて格段に気持ちの入れ方も変わり、声量もアップし、心と体の成長を感じました。中でも3年生はさすがでした。圧巻というか聴いている人を感動させるような歌声を響かせてくれました。大人の声質に変わってきたことに加え、合唱に対する心の叫び、熱い思いが会場全体に熱く伝わっていく感覚を覚えました。心の中がものすごく潤ったように思います。
審査員席から合唱を終えた皆さんが席に戻る時の顔を見ていました。どの学年、どのクラスもそれぞれ歌い切った満足感、やり終えた充実感をもった表情をしていました。合唱を通して多くの学びと自信を持ってくれたことが感じられ、とても嬉しかったです。
打出中学校の皆さん。本当にありがとう。
本年度の文化祭も「打出うどん」「ブックカフェ」をはじめ、多くの保護者の皆様や地域の皆様に協力していただきました。ありがとうございました。
2023/09/11
「間」
電車に乗るとき、空いている電車であれば隣の人との距離を空けて座る人が多いのではないでしょうか。人は無意識のうちに他人との間に距離をとって、快適な空間を保とうします。この空間のことを「間」といいます。親しい相手とはその空間を狭くなり、親しくない人相手との間では、十分な空間を確保できないと不快感を覚えてしまいます。あるアメリカの文化人類学者は、相手と自分の距離が45〜75センチでは親しくなければ、違和感をおぼえる空間。75〜120センチでは個人的な話をするときに程よい空間としています。個人差はありますが、程よい空間のなかに親しくない人が入ると、不快感をおぼえることが多くなります。
「間」にはいろいろな意味があります。@物が並んでいる空間。A部屋。B畳の大きさ。C連続している事と事のあいだの時間。D話の中に適当にとる無言の時間。E演劇などでせりふとせりふなどのあいだの時間。
人間関係をよりよくしていくためには、@のお互いに居心地のよい距離感を大切にすることです。言い換えると、自分が辛くなったり、悲しくなったり、悩んでしまったりしないで済む距離です。そして阿吽の呼吸で会話ができれば人間関係は自ずとよくなっていくものです。