校長室より
2023/02/27
「スーパーマン」と「アンパンマン」
アメリカでアニメや映画でのスーパーヒーローの代表格と言えば、「スーパーマン」。原作者はジェリー・シーゲルとジョー・シュースターの2人です。日本のアニメでヒーローと言えばいろいろ名前が挙がってくるかもしれませんが、「アンパンマン」もそのひとつ。作者はやなせたかしさんです。やなせさんの話です。『アメリカにはスーパーマンというヒーローがいますが、スーパーマンは飢えた人を助けに行くことはしない。することは悪人をやっつけること。どんなに格闘しても、着ているものが破れたり、汚れたりすることがない。だから、本当の正義を行う新しいヒーローを描きたいという気持ちになった。』
悪人を倒すことより、弱い人を助けることを正義と感じていたようです。だから、アンパンマンは、自分の顔をちぎって困っている人に食べさせ、助けます。顔をちぎって人にあげるから、アンパンマン自身も傷つくけれど、それによって人を助けることができるのです。
またこんなことも言っています。『バイキンは食品の敵ではあるけれど、アンパンをつくるパンだって菌がないと作れない。菌によって助けられていることもある。善と悪とはいつだって、戦いながら共生しているということです』。人の体内外には40〜100兆個も常在菌が生きていると言われています。その常在菌を絶滅させるとどうなるか。たぶん生きていけなくなります。健康な人はバランスをとり共存を保っているのでしょう。人間関係も一緒かもしれません。
2023/02/20
そっ啄(そったく)
卵の中のひな鳥が殻を破って生まれ出ようとする時、卵の殻を内側からひな鳥がつつくことを「そつ」といい、それに合わせて親鳥が外から殻をつつくことを「啄」といいます。 ひな鳥と親鳥が、内側と外側からつつくタイミングが一致することで、殻が破れて中からひな鳥が生まれてきます。もっと説明するならば、「そつ」はひな鳥が卵の殻を破って出ようとして鳴く声、「啄」は親鳥が殻をつつき割る音です。このように、両者の動作が一致することにより目的が達せられる「両者が相応じる得難い好機」のことを「そつ啄の機」とか「そつ啄同時」といいます。両者のタイミングがうまく一致していることがとても大切で、親鳥のサポートが早すぎても、遅すぎても、ひな鳥は死んでしまいます。つまり、「人を育てる際には、タイミングが大事」ということを意味しています。
自分の子育てを振り返ってみても、いつもほんの少しだけ卵の殻を外側からつつくタイミングが早かった、“待つ”ということが足りなかったと反省しきりです。親が先走って必要以上に与えすぎると、子どもの「やってみたい」という気持ちを奪ってしまう結果になることが多いです。
「教える」が「育つ」を追い越さないようにすることが大切ではないでしょうか。
2023/02/13
60点は60点
世の中のほとんどのことは正解(成功)か失敗かとか、100か0(ゼロ)かとか、どちらかに決めることはできないことの方が多いです。実際の結果は0(ゼロ)と100との間にあるものです。それにも関わらず、私たちは物事を見るときに「0(ゼロ)か100か」という、ふたつにひとつの見方をしてしまうことがしばしばあります。ほんの小さな失敗でも完全な失敗と考えてしまうから0(ゼロ)と判断してしまいがちです。つまり60点でも0点だと思ってしまう傾向があるのです。60点は0点ではありません。60点は60点であって、失敗と思っていても6割は成功しているのですからこの60点の場所から、もう一度上を目指して再チャレンジすればいいのではないでしょうか。
2023/01/27
天国と地獄
2学期の始業式で話をした内容です。地獄にも天国にも、部屋の真ん中に大きな釜があり、おいしいうどんが煮えているそうです。ただ、その食べ方にルールが決まっていて、1メートルの長い箸で、しかもその端を持って食べなければならないというものです。釜の大きさも、釜を囲んでいる人数も一緒、でも地獄と天国の様子は大きく違う。地獄では、自分でうどんを掴み取り、自分の口に持って行こうとし、長い箸なので届かず、だれもうどんを口にすることができません。天国では、みんなで分け合えるように、箸で掴んだうどんを、反対側の人に食べさせてあげる。先にあなたがどうぞ、次は自分が食べさせてもらう。そうして全ての人がニコニコしながらうどんを食べているそうです。まさに、「うばい合えば 足らぬ わけ合えば あまる」です。
人の心の持ちようが違うだけで大違いですね。
2023/01/23
「エビングハウスの忘却曲線」
ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが提唱した人が忘却するメカニズムを端的に表したグラフのことを「エビングハウスの忘却曲線」といいます。人間の記憶に対する実験で、人は一度記憶したものを20分後には約42%を忘れ、1時間後には約56%を忘れ、1日後には約74%、1週間後約77%、1ヶ月後約79%を忘れたというものです。つまり、1ヶ月経ったら21%のことしか覚えていないということです。でも、この理論には重要なポイントがあります。それは、1日経つのと1ヶ月経つのを比べてみるとそう変わらない。つまり、1日後に覚えていたことは1ヵ月経っても覚えていられる可能性が高いということです。1日後と1ヶ月後の差は僅か5%。繰り返すことで忘れが減ります。人間は忘れる生き物です。忘れない努力をしていきたいものですね。
2023/01/16
「酢豚にパイナップル、チャンポンにお酢」
滋賀県には全国でも有名な「ちゃんぽん」のお店があります。彦根が発祥の地だそうです。このちゃんぽん、味変(あじへん)としてお酢を入れるとおいしくなるそうです。私はちゃんぽんに「お酢」を入れる気持ちが初めは分かりませんでした。しかし、今では、「お酢」を投入することで味に深みやまろやかさが出てくることに気づきました。価値観に違いがあるだけで、これを美味しいと思う人と、これを不味いと思う人がいるだけということですね。自分とは違う相手の価値観を、全て排除するよりも、「試しに一度やってみようかな」と少しでも寄り添うことが大切ではないでしょうか。
喧嘩やいざこざ、戦争も、きっとそういう価値観の違いから始まっているのでしょう。互いに「正義」を主張し、引かないから衝突する。ほんの少しでも「試しに一度やってみようかな」というような、相手の価値観を知ろうとする気持ちがあれば喧嘩にまで発展しない気がします。
ちなみに酢豚にパイナップルが入っています。初めに考案した人はとても大胆な発想をしたものですね。
2023/01/10
「記憶の干渉」を逆利用する
似たような事柄を覚えようとすると、混乱して記憶が妨害されることがあります。こうした現象を「記憶の干渉」と言うそうです。小学生時代に九九(掛け算)を覚える時に、七九→六十三はすぐに頭に入ったのに、その逆の九七→六十三は覚えるのに苦労した経験はないですか。九九を習うとき、数が少ないほうから順番にすることが多いですね。だから、七九→六十三を習ったあとで九七→六十三を覚えることになります。ここで似たような数を覚えることにより記憶の干渉が生じるのです。
日常の勉強でも、多くの知識を一度に覚えようとすると、記憶が曖昧になり、記憶の混同が起こったり、勘違いすることがよくあります。不用意な詰め込みが、記憶の働きを悪くさせているのです。例えば、テストで英単語が100題出るとします。自信がある人は別として、100個覚えるのが難しいと思ったら頑張って無理に全部覚えようとしないこと。記憶の干渉を起こしてしまいます。それよりは、状況に応じて、50個または70個を確実に覚えたほうが満点は取れなくても、よい結果につながることが多いです。
記憶力には、個人差があります。無理に詰め込んで、その結果混乱してしまうよりも最初から半分だけを確実に覚えて50点をとるほうが、記憶の性質にかなった合理的なやり方かもしれません。参考に!
2022/12/19
「葦編三絶」
「いへんさんぜつ」と読みます。意味は、「何度も繰り返し、熱心に本を読むことのたとえ、また、学問に熱心なことのたとえ」です。「葦編」とは、昔、字を書いた木札(木簡)や竹の札(竹簡)を皮の紐で綴った中国の書物のことで、それを繰り返し読むことで、皮の紐が「三絶」、つまり「三度も切れる」ことを表しています。
参考書を何度も繰り返し使ってボロボロになったり、テキストを繰り返し解くなかで中身が外れてテープで補強したりすることがあると思いますが、まさにその状態のことを指します。
繰り返すことの大切さを教えてくれる言葉です。
2022/12/08
「子育て」
一生涯に人が産む子どもの数ってそう多くないので子育ての経験も必然と少なくなります。だから子育てって難しいものです。参考になる話を聞いたので一部掲載します。けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる。
とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる。
不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる。
子どもを馬鹿にすると、引っ込み思案な子になる。
叱りつけてばかりいると、子どもは『自分は悪い子なんだ』と思ってしまう。
励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる。
誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ。
愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ。
認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる。
見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる。
分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ。
親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る。
子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ。
私は自分への戒めとしていつも心に残しておきたいと思っています。