校長室より

2025/07/24
雲よ消えろ
「雲よ消えろ、雲よ消えろ…」と念じると、5分以内に空の雲が消えるという遊びをしたことがありますか。

小さな雲をじっと見つめて「雲よ消えろ、雲よ消えろ…」と念じていると、確かに5分以内に本当に雲が消えてしまうのです。うそだと思う人は、ぜひ挑戦してみてください。

もちろん、「雲よ消えろ、雲よ消えろ…」という願いが通じたわけではありません。この遊びでは、小指の爪くらいの小さな雲を選ぶことが成功のポイントです。簡単に言えば、空のごく小さな雲は湧いては消えることを繰り返しているのが普通なのです。このことを知らないと、ずっと同じ雲が浮かんでいると思い込んでしまい、5分以内に雲が消えることはあり得ないことだという先入観を持ってしまいます。

また、空にぽっかり浮かんだ雲は綿菓子のような形をしていますが、たくさん並んでいる雲の形には必ず共通点があります。その共通点とは、雲の底が平らなことであり、どの雲も平らな底が同じ高さにあることです。

中学生のみなさんは、雲の底が平らな形をしていることに気づいていましたか。打出中学校から琵琶湖が一望できるので、ちょっと顔を上げて湖上に並んでいる雲を見てみてください。どの雲も底が平らになっていることがわかると思います。

このように雲の底が平らな形をしている理由は、その高度から雲ができ始めるためです。一般的に、高度が100メートル上がるごとに気温は0.6℃程度下がると言われています。つまり、上昇した空気がどんどん冷えて、一定の高度から雲をつくっているから雲の底が平らな形になるのです。このことを考えないと、雲の形の共通点に気づかないかもしれません。

以上のように、何気ない風景の中に、その風景をつくりだしている理由や本質的なことがかくされています。

サン=テグジュペリの不朽の名作「星の王子さま」の小説において、「大切なことは目にはみえない」という言葉は、人生の重要な問題に答える指針として広く知られています。中学生時代は大切な青春の時間です。「大切なことは目にはみえない」という意味をゆっくりと考えてみることも大切です。

いいね! ( 8 )
2025/07/18
地震が起こらない国
トカラ列島近海で地震が多発しています。震度4、震度6弱などのゆれが観測されたと現地リポーターによるテレビ中継が行われていました。このようなニュースを見て生徒の皆さんはどのように感じていますか。

ところで、ゆれの大きさを示す震度について、次の2つの簡単な覚え方を知っておくとニュースの内容をよく理解することができます。

ひとつめは、震度0〜4は「人の感じ方の度合い」なので震度4は人が驚くほどのゆれの大きさを表しています。次に、震度5は固定されていない家具≠フ被害、震度6は耐震性の低い木造家屋≠フ被害、震度7は耐震性の低い鉄筋ビル≠ノ被害が出るゆれの大きさだと覚えておくとよいでしょう。

ふたつめは、震度5と震度6にだけ「弱」と「強」があって、「弱」はずれる≠ナ「強」は倒れる≠表していると覚えておくとよいでしょう。

これらのことから、震度5強は「家具≠ェ倒れる=vとなります。したがって、「震度5強の大きな揺れがありましたが、倒れた家屋はありません」という現地リポーターによる報道は当たり前のことをわざわざ言っているだけなのです。

さて、生徒の皆さんは、直下で地震が起こらない国や地域が地球上に存在すると思いますか。もちろん地震計でしか感じられないような震度0の地震もふくんで考えてみてください。「きっと地震が起こらない国や地域なんてあるはずがない」と答える人が多いのではないでしょうか。

ところが、直下で地震が起こらない国や地域はとてもたくさんあるのです。

例えば、香港に行くと東京では見られないようなヘンテコな形の鉄筋ビルが建っています。なぜなら香港では過去1万年間、直下で地震が起こったことがないからです。同じように世界には、途中から直角に曲がっている高層ビルや下部が細い高層ビルなど、地震をまったく想定してない建造物が普通に見られるのです。その理由は、地球の表面は厚さ100kmくらいのプレートとよばれる10枚くらいの岩盤で覆われていて、プレートの境目付近や火山活動でのみ地震が起こるからです。つまり、プレートの内側に位置する国や地域では、遠くで起こった地震のゆれが伝わってくることがあっても、直下で地震がおこることはありません。

ところが残念なことに、日本列島はプレートの境目付近に位置するため、ひんぱんに直下で地震が起こります。しかも、直近の15年間の統計では世界中で起こっている地震のおよそ20%が日本で起こっています。このことから、世界で地震を最もたくさん経験している日本こそが、地震対策先進国になる必要があるといえるのです。

中学生時代は大切な青春の時間です。日本で世界の地震の20%が起こっていることを強く意識して、地震防災についてよく考えてみることも大切です。

いいね! ( 10 )
2025/07/15
川の始まりと川の終わり
水田に水は欠かせません。とりわけ稲穂が形成されるこの時期は、絶対に水田を干上がらせてはならないのです。晴天が続いて河川の水位が下がってくると、水田にはりめぐらされている用水路の末端まで水が引けなくなってしまいます。そこで、河川の中に水をせき止める物を置いて、用水路の取水口の水位を高める必要がでてきます。このように、一時的に河川をせき止めることを「水取り」といいます。「水取り」では、水田を所有している者が集まって河川をせき止めます。
晴天が続いたため水が減り、私の地域でも「水取り」が行われました。河川を横断するようにたくさんの杭を打ち、川岸の竹を切って杭に渡したり、川砂をつめた袋を固定したりしました。このとき端っこまでせき止めないことなど、下流の地域と水を公平に分け合うためのいろいろな約束があるそうです。

ところで、生徒の皆さんは「川の始まり」と聞くと、どのような風景を想像しますか。おそらく川底からの湧き水や川岸からしたたる水滴を想像したのではないでしょうか。しかしながら、世界へ目を向けると、世界の多くの国の「川の始まり」は日本とは様子がまったく異なっているのです。

 アフリカで暮らしていた知人によると、現地の方が、「川がやってくる」と、うれしそうに話してくれたそうです。案内された場所にはくぼみがあるだけで川らしいものが見当たらないのに、「もうすぐ川がやってくる」と、自信たっぷりに話されるのです。しばらくすると、くぼみの高い方からちょろちょろと水がやってきて、見る見るうちにごうごうと流れる大河になりました。ところがその日の夜のうちに川は通り過ぎて、次の日にはもとのくぼみにもどっていたそうです。つまり、森林のない国々では、上流に雨が降ったときにだけ、一気に水があふれます。そのため、川には「始まり」と「終わり」があるのです。

「心ここにあらざれば、視れども見えず」という有名なことわざがあります。これは、気に留めていなければ、目の前のものを見ているようでも、実際にはそれを認識していないということを示しています。

身の回りの河川は常に流れていて、琵琶湖が水をたたえていることが当たり前のように感じていませんか。滋賀県のおよそ半分の面積を占めている森林が、琵琶湖の大切な水源となっていることを忘れてはならないと思います。絶え間なく川に水が流れているのは、豊かな森があるからなのです。

中学生時代は大切な青春の時間です。普段から気に留めていないことも考えてみる態度も大切にして、夢に向かって進んでいきましょう。

いいね! ( 8 )
2025/06/30
いないいないばあ!とヒット作品
京阪電車の駅で、「いないいないばあ!」で遊んでいる親子に出会いました。母親が「いないいない」と言って顔を手で隠し、「ばあ!」と同時に手を広げて笑顔を出すと、赤ちゃんが「きゃっきゃっ」と大喜びしていました。 赤ちゃんは、「いないいないばあ!」の遊びが大好きです。この遊びは、世界中で異なる言語で同じような方法で楽しまれていて、赤ちゃんが喜びの声をあげるのには、次のような理由があるそうです。

赤ちゃんは、はじめに目の前の親の顔を覚えていて、その顔が見えなくなったことにちょっぴり不安な気持ちになります。でも、いなくなったわけではなくて「顔が消えたけど、出てくるだろう」と予感しています。そして、「ばあ!」の声と同時に、再会した安心感とともに、はじめは笑っていなかった親が笑顔であらわれるわけですから、「期待以上の再会」を果たしたのです。

つまり、はじめの居場所があって、不安な状態を経験し、はじめよりも幸せにもとの居場所に戻ってくるというストーリー(構成)になっています。

よく考えてみると、この「いないいないばあ!」の遊びの構成は、さまざまなヒット作品のストーリーと同じです。ヒット作品を生み出す秘訣なのかもしれないと思うのです。

例えば、「千と千尋の神隠し」では、無気力な主人公が不思議なトンネルから八百万の神々が住む世界へ迷い込み、たくましく成長していきます。トンネルを抜けて人間界に戻れたときの主人公の表情ははじめとは異なっています。つまり、不思議な世界で不安な気持ちに耐えて努力したことが実を結び、一段と成長して(笑顔をもって)はじめの場所に戻ることができたことに、観客がほっと安心できるところが、「いないいないばあ!」の遊びと同じなのです。
同様に、人類の希望を手に入れて再び地球に帰ってくる「宇宙戦艦ヤマト」、偉大なる航路(グランドライン)でひとつなぎの大秘宝(ワンピース)を手に入れて世界を一周して帰ってくる予定の「ワンピース」、ホグワーツで試練を乗り越えて友情を深め、9と4分の3番線に戻ってくる「ハリーポッター」も、「いないいないばあ!」の遊びと同じストーリー(構成)なのです。

似たようなものに、「故郷に錦を飾る」ということわざがあります。故郷を離れて出世し、成功者として立派な姿で再び故郷に帰ることを示しています。中学生時代は大切な青春の時間です。自分の出発点を大切にして、夢に向かって進んでいきましょう。

いいね! ( 9 )
2025/06/23
稲の中干し
6月中旬から下旬にかけて、田んぼが干からびて地面がひび割れている様子が見られます。この状態が1週間から2週間続くと、青々としていた稲の葉っぱが水分不足で黄色くなっていきます。となりの用水路には水がたっぷりと流れているので、すぐに水を補給することができるのですが、田んぼの取水口はかたく閉じられ、一滴も入らないようになされています。このように田んぼの地面を乾かすことを「干す」とよび、この時期に田んぼを干すことを「中干し」とよびます。いったいなぜ「中干し」が行われているのでしょうか。

「中干し」は稲にとってたいへん大きなストレスになっていることは間違いありません。夏の日ざしがふりそそぐ気温が高い時期に、満々と張られていた田んぼの水が急に干上がるのですから、稲にとって衝撃的な出来事だといえます。しかしながら、農家の方はわざとこのような環境をつくりだしているのです。

稲は急に水がなくなると、なんとか生きのびようと根を深く伸ばしていきます。また、余計な細い茎の発生を止めて太い茎をかたく作り変えていきます。このように、「中干し」によって根を深く伸して肥料をよく吸収するようになります。また、簡単に倒れない頑丈な茎が作られるようになります。「中干し」が終わると、田んぼには満々と水が張られ、7月になれば茎の中に稲穂ができ始めます。「中干し」の厳しい環境を乗り越えた稲が、品質のよい美味しいお米を作るのです。

「苦労は買ってでもせよ」ということわざがあります。「中干し」を経験した稲が美味しいお米をつくることと同様に、若いときに困難な経験を積むことは自分の成長につながっているということを示しています。中学生時代は大切な青春の時間です。困難に立ち向かい夢に向かって進んでいきましょう。

いいね! ( 9 )
2025/06/17
蛍(ホタル)の夜
今年も夜が蒸し暑くなってくるタイミングで蛍が飛び交うようになり、たくさんの蛍を見ることができました。たった一匹でしたが、小川から遠く離れたわが家の庭にも蛍がやってきました。きっと新天地を夢見て豊かな小川を探しているのだと思います。

思い出してみると、近所には見た目は同じなのに、蛍がいる川と蛍がいない川がありました。蛍がいない川の共通点は稲作が終わるのにあわせて水門が閉められていたことです。つまり、夏に蛍の成虫が飛び立つ際に必要な環境があっても、たとえ短期間でも蛍の幼虫が生育できる環境がなくなれば蛍は生きていけないのです。

蛍といえば、清少納言の随筆「枕草子」の一節が有名です。「夏は夜。月の頃はさらなり。闇もなほ、蛍の多く飛び違ひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。(現代語訳:夏は夜がよい。月の明るい頃は言うまでもない。月の出ない夜でも、蛍が多く飛び交っているのはよいものだ。また、ほんの1匹か2匹が、ほのかに光って飛んでいくのも情緒がある。雨が降るのも情緒がある。)」。

また、蛍といえば「蛍雪(けいせつ)の功」という言葉も有名です。「蛍の光、窓の雪」と歌った方も多いのではないでしょうか。この「蛍の光」は、中国古典「晋書(しんじょ)」に由来します。油が買えないまずしさの中でも、勤勉な人が袋に入れた蛍の明かりで、夜通し勉強したという話です。

苦労しながら勉学にはげむことは、いろいろな例を交えて重んじられています。

いいね! ( 18 )
2025/06/09
磨針峠(すりはりとうげ)
滋賀県立近代美術館で小倉遊亀画伯の日本画を鑑賞しました。小倉遊亀画伯は打出学区の大津市中央にお生まれになり、文化勲章を受章され、大津市名誉市民として表彰されている日本を代表する女流画家です。

絵を見てぞっとした感覚は初めてでした。「磨針峠」の何も描かれていない絵の中の空間から怪しいものが伝わってきました。しかし、じっくりと見れば見るほど怪しいものが神々しい何かに変わっていくのです。想像力がかきたてられて細部までよく見ると、白髪の老婆の何とも言い表せない表情と若い僧侶の思いつめたような表情とが無言で会話しているようで、それぞれの立ち位置の陽と陰がつながっていくように感じました。

不思議な感覚にとらわれて磨針(摺針)峠について調べてみると、この峠は滋賀県に実在していることが分かりました。峠は山道を登りつめてこれから下りになるという境ですから、若い僧侶はいよいよ違う景色にさしかかる境界で白髪の老婆と出会ったことになります。そして、このような山奥で老婆がたった一人で薪を割る斧(おの)を砥石で磨いているのは不自然ですからこの老婆は人間ではないことが感じられます。

さらに磨針峠について調べてみると、若い僧侶が日々の厳しい修行から逃げ出そうとしてこの峠を越えようとした時、斧を石ですっている白髪の老婆に出会ったという言い伝えがありました。若い僧侶が何をしているのかを尋ねたら、「針がないので、斧をすって針をつくっている」と答えられたそうです。

この若い僧侶はなまけようとしていた心を深く反省して修行に励み、後に弘法大師になったと伝えられています。弘法大師は次のような歌を詠んでいます。

「道はなほ 学ぶることの 難(かた)からむ 斧を針とせし 人もこそあれ」

この短歌の現代語訳は「道はなお学び続けることが難しいだろう。しかし、かつて斧を針に変えるほどの努力をした人もいるのだから」です。

中学生時代は大切な青春の時間です。夢に向かってあきらめずにコツコツと進んでいきましょう。

いいね! ( 20 )
2025/06/06
カモの水かき
琵琶湖で群れをなして泳ぐ水鳥の姿を多く見かけるようになってきました。いろいろな水鳥に混じってカモがすいすいと泳いでいます。湖岸から見えるカモは平然と泳いでいるように見えますが、実は水面下で足を懸命に動かしているそうです。

のんびりと水に浮かぶカモも、水面下では絶えず足で水をかき続けているように、上手に物事を進めている人にも人知れない苦労があるのです。外からよく見えるのは結果ですが、その結果は見えない努力から生み出されたものだといえます。

アテネオリンピックで有名になった「栄光の架橋」の歌詞では、他人の目には映らない自分しか知らない挫折や壁をも「悲しみや苦しみの先に それぞれの光がある」と包み込んでくれます。他人には見せないだけで、誰もが悔しさや怖さ、そしてもどかしさを感じるときがあります。

中学生時代は大切な青春の時間です。夢に向かって大きく花開くための準備を始めていきましょう。

いいね! ( 19 )
2025/05/28
A+B と B+A は同じ?
問題集を見ていると次のようなものがありました。
「5gの水酸化ナトリウムに、何g(mL)の水を加えると、5%濃度の水溶液ができますか。(答え 95g)」
私の専門は理科なので、この問題にとても驚きました。水酸化ナトリウムは薄い水溶液でもたいへん危険なので、水酸化ナトリウムの粉を生徒の皆さんが授業で直接あつかうことはありませんが、私が驚いたのはもっと別の理由です。

生徒の皆さんは、水酸化ナトリウムに水を加えることと、水に水酸化ナトリウムを加えることは同じだと思いますか。

実は、問題集のような順序で、水酸化ナトリウムに水を入れてしまうと大惨事になります。入れた水がいっきに沸騰して、まわりに濃い溶液が飛び散ってしまうのです。だから、水酸化ナトリウム水溶液を作るときには、水をよくかき混ぜながら少しずつ水酸化ナトリウムの粉を加えていくのです。そのようにしても水酸化ナトリウム水溶液は熱くなりますが、安全に水溶液をつくることができます。

このように、AにBを加えることとBにAを加えることは全く違うのです。例えば、砂糖に水を入れても水に砂糖を入れても同じ砂糖水になりますが、一流の料理人は、どの順序でどのタイミングで入れるのかをよく考えて美味しい料理を作っておられます。お湯で煮込んでから味付けするか、味付けしたお湯で煮込むかは全然違いますし、水とお湯では砂糖が溶ける速さが変わり、その時間差をうまく利用されています。

中学生時代は大切な青春の時間です。だからこそ、生徒の皆さんには、より高い目標を見すえて、ていねいに物事を考えてほしいと思います。

いいね! ( 17 )
2025/05/21
睡眠を大切に -寝たらかしこくなるのはなぜかー
夜ふかしをしてしまい普段の睡眠時間よりたった90分短くなっただけで、翌日の体温調整がうまくいかなくなって、熱中症の危険性が高まることが分かっています。このように十分な睡眠が健康維持に不可欠なのですが、睡眠には学力アップの重要なカギがあることも最近の研究で明らかになっています。

生徒の皆さんは、就寝前になかなか解けなかった問題が一度睡眠をとった次の日にすらすら解けるようになったといった経験はありませんか。また、一日中楽器演奏の練習をしても上手く弾けなくて、疲れて睡眠をとった次の日に、突然上手に弾けるようになったという経験はありませんか。スポーツで例をあげると、バスケットボールのシュートをたくさん練習したとき、次の日になってからシュートがよく決まるようになったことはありませんか。

ところで、コンピュータが普及し始めたころ、コンピュータの処理速度を高めるためにデフラグという保守作業を行いました。デフラグとは、情報を何度も読み書きしているうちに、情報が離れた場所に保存されてしまうので、情報を引っ越しさせて連続した場所に保存し直す作業です。たったこれだけのことですが、マンションの1軒1軒の玄関に郵便ポストがある場合とマンションの入り口にすべての郵便ポストがまとまっている場合を比較するほど格段に情報の出入りがスピードアップするのです。

実は、私たちの脳は睡眠中にコンピュータのデフラグと同じような保守作業を行っています。というよりもっとすごい「情報の選別」を行っているそうです。

「情報の選別」の第一段階では一時的な保管庫から重要な情報だけがピックアップされ、第二段階ではそれらの情報がかたまりとして圧縮され、第三段階では長期の貯蔵庫へ移動されるそうです。このことで、ピアニストが睡眠前には「ド、レ、ミ……」とフレーズ内の音符を一つ一つ処理していかなければならなかったものが、睡眠後に一回の処理だけでフレーズを演奏できるようになるということです。同様に、寝る前に学習したことが睡眠中に編集されてより完全なものになるため、睡眠後には睡眠前に学習した知識を使いこなせるようになるということです。もちろんスポーツ技術も脳のはたらきに関係しているので同じことがいえます。

中学生時代は大切な青春の時間です。だからこそ、生徒の皆さんには、寝不足にならないように注意して、健康維持と学習の定着につとめてほしいと思います。

いいね! ( 20 )

- Topics Board -