
第75回卒業証書授与式
2022年03月15日(火)
今日は平成3年度の卒業式が行われました。今年で75回目の卒業式です。コロナ対策を万全に行いながら、式の時間も1時間余りと縮小し、昨年度と同様、卒業生、保護者、教職員、現生徒会長のみと参列となりました。
本年度の卒業生は251名で、私から一人ひとり卒業証書を手渡しました。その後の式辞は次のようなお話をしました。全文を掲載しておきます。
「比叡の山並みから吹く風も柔らかく、春の息吹を感じる季節となりました。三寒四温を繰り返し、桜のつぼみもふくらみはじめ、春の日差しがまぶしい今日の佳き日に第75回大津市立日吉中学校卒業証書授与式が挙行でき、心からお喜び申し上げます。
新型コロナウイルスの感染拡大を考慮して、昨年度と同様に、来賓の招待や在校生の出席を控え、保護者数の制限、開催時間の短縮や内容の工夫等により、なんとか実施する運びとなりました。そんな中、私がこの式でこだわったのは、卒業生一人一人に私自身が名前を書かかせていただいた卒業証書を手渡すことです。卒業生が主人公の卒業式、一生の思い出に残る式にしたいと思います。
さて、改めて251名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。先にも少し触れましたが、新型コロナウイルスの影響で、大きな行事が延期や中止になり、その結果11月に行事が集中し、特に3年生には進学のことを考える大切な時期に余裕をもって過ごすことが叶いませんでした。入学してからの11か月は通常通りの学校生活が送れましたが、突然の休校に始まった新型コロナウイルス感染症への対応は2年余りにおよび、現在でもまだ厳しい状況が続いています。まだ先行きが見通せない不安はありますが、学校に登校したらみなさんは中学生らしくはつらつと学校生活を送ってくれました。朝昇降口で皆さんの姿を迎えることが当たり前ではなく、本当に幸せであることも実感しているところです。
いろいろな制限がある中、輝きを放ってくれた出来事がいくつかありました。まずは、部活動において夏季総合体育大会で念願の滋賀県№1の称号である総合優勝を勝ち取ってくれたことです。オンラインで行った壮行会で私は激励のあいさつでも総合優勝を目指してほしいと話していたので、21年ぶりの快挙の報せを聞いた時の感動は今でも鮮明に覚えています。
また、延期になった文化祭では第5波の影響で合唱コンクールを断念する学校が多くありましたが、本校は11月に延期することでなんとか合唱コンクールを実施することができました。コロナ対策を徹底して練習に取り組み、迎えた本番では1年間のブランクを感じさせない素晴らしい歌声で、とりわけ3年生の合唱には鳥肌が立つとともに、涙が溢れました。本校の伝統の力を感じるとともに、最上級生の気迫を感じた瞬間でした。その後は、気持ちを切り替えて、自らの進路実現のために勉強にも積極的に取り組んでくれました。我慢を多く経験した分、本当に精神的な成長が大きかったように思います。随所に自分のためだけでなく、周りの人のために働く姿も数多く拝見しました。まさに、本校の校訓にある「切磋琢磨し躍動する学校」の顔として、誇りべき存在でした。
今日で義務教育9年間を終了し、次のステージに夢と希望をもって進んでいく皆さんに私から餞の言葉を送ります。一つ目は、「ありのままの自分を認め、自分らしく」です。みなさんは、自分のことが好きですか?どうしても長所よりも短所の方に目が行く人も多いように感じます。自分の短所や弱点をなくそうと努力することは大切だと思いますが、弱い面ばかり気にしているとどんどんと自信がなくなります。人間は必ず、よいところとよくないところがあります。そんな自分をよくない部分も含めて、ありのままに受け止めてください。これを「自尊感情」と言います。これからみんなが進んでいく道は、平坦な道ばかりではないと思います。うまくいかないこともあると思いけれど、プラス思考でいつも自分らしく前に進んでください。
もう一つは、「ほめ達人間になろう」ということです。人間は決して一人では生きていけません。これからも多くの人と関わりながら、自分の人生を豊かにしてほしいです。そこで、大事なのが、相手を褒めることだと思います。口先だけでほめるのではなく、心からほめてみましょう。きっと心が温かくなると思います。3つのS「すごい」「素晴らしい」「さすが」に+して「素敵」を覚えておくといいでしょう。そこからコミュニケーションがうまれ、人間関係を円滑に進められると思います。私も日々実践しています。一度挑戦してみてください。
保護者の皆様、手塩にかけたお子様のご卒業を心からお喜び申し上げます。立派に成長した姿を目にして、感無量のことと存じます。特にこの3年間は、思春期の真っただ中で、自我の芽生えもあり、子育てに悩まれたこともあったと思います。なかなか素直に「これまでありがとう」と言えない人もいますが、心の中では感謝の気持ちであふれています。今日は、少し時間を取って、お祝いと感謝の気持ちを伝えあえるといいと思います。
いよいよ、卒業生のみなさん、お別れのときが近づいてきました。3年間で培った折れない心で、進む道はそれぞれですが、自分を信じて一歩一歩前進してください。3年生の学年スローガン「咲き誇れ!百花繚乱」。みなさんの洋々と広がる可能性に期待を込めて、式辞といたします。」
在校生からは映像によるエールを、送辞や答辞も胸を打つものがありました。最後の卒業生の歌は当初は2曲を考えていましたが、3学期に入って音楽の授業で合唱ができなくなり、1曲に断念しました。「春風の中で」という曲を合唱してくれましたが、体育館内に響き渡る歌声に感激し、涙が溢れました。さすが3年生。卒業式が見事に引き締まった感じがしました。今はその余韻に浸っています。