| 戻る |
| ■ 式辞 | 2026. 3. 6 |
式辞 令和七年度 第七十九回卒業式 やさしい光が大地に降り注ぎ、清らかに流れる瀬田川にも、春の息吹が感じられるようになりました。校庭では桜のつぼみもほころび、自然がそっと新しい季節の訪れを知らせてくれています。 本日は、ご来賓の皆さま、そして保護者の皆さまにお越しいただき、第七十九回大津市立瀬田中学校卒業証書授与式を、このように温かな雰囲気の中で挙行できますことを、心よりうれしく思っております。高壇ではございますが、皆さまのご臨席と、日頃より本校の教育活動を支えてくださっている温かいお力添えに、深く感謝申し上げます。 ただいま卒業証書を受け取られた三百四十三名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんがこの三年間を瀬田中学校で過ごし、心も体も大きく成長され、今日の日を迎えられたことを、私たち教職員も本当にうれしく思っております。卒業証書を手にした皆さんの表情には、これまで積み重ねてきた努力の跡や、やり遂げたことへの満足感、そして自信があふれております。また、新たな一歩を踏み出そうとする前向きな気持ちも感じられ、その姿は大変頼もしく、心強く感じております。 思い返せば六年前──2020年2月、全国の学校が一斉に休校となりました。当時、皆さんは小学校三年生を終えようとしていた頃のことです。約三か月の休校期間を経て学校は再開されたものの、その後も多くの制限が続き、社会全体が予測のつかない状況へと突入しました。「ソーシャルディスタンス」という言葉が日常に入り込み、本来であれば友達との関わりを深め、のびのびと活動できたはずの小学生の時期に、皆さんは大きな我慢を強いられることとなりました。本来であれば経験できたはずの、数多くの時間や機会が、コロナによって奪われてしまったのです。 そして三年前、皆さんはそのようなコロナ禍のただ中で、瀬田中学校に入学してきました。真新しい制服に身を包み、期待を胸に校門をくぐった皆さんでしたが、多くの活動には制限があり、不安や戸惑いもあったことと思います。それでも皆さんは、けっして下を向くことなく、仲間を思いやり、できることを一つひとつ着実に積み重ねてきました。ときには先の見えない不安や、友達との関わりの中で葛藤する場面も多々あったことでしょう。 二年生の途中で制限が解除されると、皆さんの力はようやく存分に発揮され、学校の景色は一気に色づき始めました。行事や部活動、そして日々の学習の中で、皆さん一人ひとりが頼もしく輝きを増していく姿は、私たち教職員にとって大きな喜びであり、何よりの励ましとなりました。 私が卒業生の皆さんと共に過ごすことができたのはこの二年間ではありましたが、この二年は私にとって特別な時間であり、深い意味をもつ大切な日々でした。伝統ある瀬田中学校の魅力を改めて感じさせてくれたのも、そしてコロナ禍によって失われたものを再び息づかせてくれたのも、ほかならぬ卒業生の皆さんの姿でした。 二年生では、この学年をきっかけに、五年ぶりとなる調理実習が復活しました。初めてのグループ調理に戸惑いながらも、地域の方々や保護者の皆さまに支えていただきながら「豚の生姜焼きと味噌汁」を作り上げました。ショウガと醤油の香りが調理室いっぱいに広がり、協力して作る楽しさ、仲間と味わう格別のおいしさを感じることができました。普段あまり話す機会のなかった人同士の交流も生まれ、忘れがたい学びとなりました。 また、小学五・六年生を対象にした部活動体験では、小学生に優しく声をかけ、丁寧に教える皆さんの姿から、大きな頼もしさを感じました。人と人との関わりが広がり、互いに交わる喜びを取り戻していった一年でもありました。 三年生になると、皆さんは学校の中心としてさまざまな場面で力を発揮してくれました。 修学旅行では、白馬の雄大な自然の中、ラフティングや選択別研修に挑戦し、仲間とともに心躍る時間を過ごしました。また、一日目の見学先で無くした財布が、現地の方のご厚意によって無事届けられた出来事もありました。旅先での温かい思いやりに触れ、助け合う心の大切さを実感する、忘れられない経験となったことでしょう。名古屋での班別自主研修では、計画を立てて名所を巡り、名物を味わいながら、主体的に行動する力を発揮しました。この修学旅行で過ごした時間は、自然・歴史・文化に触れながら仲間と共に過ごしたかけがえのないものとして、これからの人生を温かく照らし続ける灯火となることでしょう。 部活動では、暑さの厳しい日も仲間と声を掛け合い、全員で力を合わせて挑んできました。 茨城県潮来市で行われたボート部の全国中学選手権では、男子が二十五年ぶりの総合優勝、女子が総合第2位という輝かしい快挙を成し遂げました。とりわけ、女子舵手付きクオドルプルの決勝で見せた熱戦は忘れられません。赤い瀬田中学校のユニフォームが先頭でゴールラインを切った瞬間の感動は、今も胸に強く残っています。まさに、歴史に刻まれる瞬間でした。 一方、男子バスケットボール部の大津市夏季総体・準決勝(打出中戦)では、終始リードする展開でありながら、ひとつのジャッジをきっかけに流れが変わり、惜しくも逆転負けを喫し、県大会への切符を逃しました。肩を落とす選手たちに、私はかける言葉がみつかりませんでした。ただ、同じ悔しさを胸に抱いていました。しかし、全力を尽くしてなお味わったその悔しさこそが、皆さんを成長させ、人生を豊かにする糧となるはずです。負けたことがあるという経験が、いつか必ず大きな財産になります。 どの部活動も、結果を超えて、皆さんが重ねてきた挑戦と団結の姿は瀬田中の誇りです。その歩みは確かに学校の歴史に刻まれ、後輩の道しるべとなることでしょう。 体育祭では、クラスカラーのオリジナルTシャツに思いを込め、競技に真剣に向き合いながらも、仲間と楽しむ皆さんの姿が輝いていました。 文化祭の合唱コンクールでは、二年生のときよりも力強く、豊かな歌声が予選から体育館に響き渡りました。どのクラスも心を一つに、自分たちの音を丁寧につくり上げていました。その姿に触れ、思わず「さすが三年生だ」とつぶやいてしまうほどでした。本選での美しいハーモニーは、一・二年生の心を大きく揺さぶり、瀬田中の伝統を受け継ぐとともに、新たな歴史を刻んでくれました。 大きな行事を終え、冬の訪れとともに、皆さんはそれぞれの進路に真剣に向き合いました。休み時間には黙々と机に向かう姿が見られ、授業中の真剣な眼差しには、進路への覚悟が宿っていました。 迷いながらも自分の選んだ道に責任を持ち、一歩ずつ歩んできた皆さん。その横顔には、三年間の学びの集大成としての確かな成長がはっきりと表れています。 これからの道には、新たな挑戦が待っています。思うように進まない日や、答えが見えず立ち止まる日もあるでしょう。そんなときこそ、瀬田中学校で培ってきた「きたえ、高め合い、学び続ける」力を思い出してください。どうか自分の可能性を信じ、他者への敬意を忘れず、誠実に歩み続けてください。 そして、卒業にあたり、私から皆さんに一つだけお願いがあります。それは、どうか 「笑いのある人生」 を歩んでほしいということです。 「笑い」は心を軽くし、周囲に温かな力を広げてくれます。笑いは、まさに善の波動です。どんな困難も、笑顔でいれば乗り越えやすくなり、人とのつながりも深まります。これからの毎日を、挑戦と成長、そして笑いで満たしてください。皆さんなら、どんな壁もきっと越えていけます。 結びにあたり、ご来賓ならびに地域の皆さまにおかれましては、公私ともにご多用のところご臨席賜り、また日頃より本校の教育に格別のご理解とご支援を賜っておりますことに、深く感謝申し上げます。本日、三年生が大きく成長した姿をご覧いただけましたことを、心よりうれしく存じます。今後とも変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。 保護者の皆さま、本日はお子さまのご卒業、誠におめでとうございます。 これまで、お子さまを信じ、励まし、そっと支えてこられたことに、心より感謝申し上げます。 この三年間には、ご心配やご負担をおかけしたことがたくさんあったことと思います。校長として深くお詫び申し上げるとともに、教職員一同、その一つ一つを真摯に受け止め、より良い学年、より良い学校づくりに努めてまいりました。保護者の皆さまの温かな支えのおかげで、今日、このように晴れやかな表情で卒業の日を迎えることができました。この笑顔は、皆さまの深い愛情と、日々の温かい励ましがあってこそ生まれたものです。心より御礼申し上げます。 卒業生の皆さん。 卒業は終わりではなく、次への始まりです。 今日までの歩みを誇りに、明日からの一歩を勇気に。 瀬田中学校は、いつまでも皆さんの母校です。困ったとき、迷ったとき、うれしい報告があるときは、どうぞ遠慮なく顔を見せてください。 三百四十三名の門出に、限りない祝福とエールを贈ります。 ご卒業、おめでとうございます。 | |