明日は瀬田中学校の体育祭です。晴れそうで、何よりです。
さて、今回は18年ほど前、近くのA中学校で私が担任をしていた頃の話です。体育祭の綱引きには、今でも忘れられない思い出があります。 当時のA中学校の綱引きは、瀬田中と同じくクラス対抗でしたが、綱を引く人数を合わせずに行うというルールでした。私のクラスは、いつも3から4人少ない状態。圧倒的に不利だとわかっていても、勝負事は勝たないと面白くない。生徒たちも「勝ちたい!」と目を輝かせていましたが、何より私自身が勝ちたかったのです。 しかし、やってもやっても負け続けます。1年生の担任から2年生の担任が終わるまで、通算10試合以上は挑んだと思いますが、1勝もできませんでした。 そこで私は、生徒の士気を上げるために「この試合勝ったら、コーヒー牛乳おごったる!」と宣言しました。当時、学校には購買があり、昼休みにコーヒー牛乳やオレンジジュース、パン、文房具などが販売されていました。生徒たちは「よし!」と気合を入れて挑みましたが、やはり勝てません。人数が2人違うだけで、体重差は100kg以上。勝てるはずもありません。 それでも諦めず、私はさらにエスカレートしていきました。「勝ったら、全員に液晶テレビこうたる!」「もう、ファミマまるまるこうたる!」「えーい、パルコこうたる!」と叫ぶと、生徒たちは大笑い。それでも勝てませんでしたが、笑顔と団結力だけは学年トップクラスだったと思います。
翌年、私は職員会議で強く訴えました。「人数そろえてくれ!それがフェアプレーやろ!」と。勝ち負け以上に、子どもたちが公平な条件で挑戦できる環境を整えることが教育の基本だ――と言えばかっこいいですが、正直なところ、ただ綱引きで勝ちたかっただけです。
そして3年目、ついに勝利を手にしたときは、本当にうれしかったです。
綱引きは、ただの競技ではありません。悔しさも、笑いも、挑戦も、すべてが成長につながる大切な経験です。今年の体育祭でも、そんなドラマが生まれることを楽しみにしています。
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