戻る
■ 歌にはつくられた背景がある〜旅立ちの日に〜2026. 2. 6

 「旅立ちの日に」は、1991年に埼玉県秩父市の影森中学校で誕生しました。今では全国の卒業式で歌われる定番曲ですが、その始まりはとても小さく、そして温かいものでした。

 当時の影森中学校は、校内の荒れが深刻で、生徒と教師の関係も良いとは言えない状況でした。そんな学校を立て直すために着任したのが、校長の小嶋登先生です。小嶋先生は、まず「学校にもう一度、歌声を取り戻したい」と考えました。歌うことで心がほぐれ、学校全体の空気が変わるのではないかと信じていたのです。

 そこで小嶋先生は、音楽科の坂本浩美先生に「卒業生の背中をそっと押すような歌をつくってほしい」と依頼します。坂本先生はその思いを受け取り、生徒たちが自然に声を合わせたくなるような、優しく力強いメロディを作り始めました。

 歌詞は校長の小嶋先生が書きました。生徒たちが抱えていた不安や葛藤、そして未来への希望を見つめながら、「どんな道でも胸を張って歩いていってほしい」という願いを込めて言葉を紡いだといわれています。

 こうして完成した「旅立ちの日に」は、まず影森中学校の卒業式で歌われました。生徒たちの声が体育館に響いたとき、先生たちは涙を流し、会場は深い感動に包まれたといいます。その後、口コミで評判が広がり、他の学校でも歌われるようになりました。やがて教育雑誌や合唱コンクールでも取り上げられ、全国へと広まっていきました。

 今では、世代を超えて歌い継がれる卒業ソングとなり、多くの人の「旅立ちの記憶」に寄り添う存在になっています。