校長室の廊下側には日めくりカレンダーが掛けられています。日にちや曜日、暦などが記されているだけでなく、毎日「今日のことば」が紹介されています。みなさんも通りかかったときに目にしたことがあるでしょう。今日、12月3日(水)のことばは「人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)」でした。みなさんはこのことばを聞いたことがありますか。
「人間万事塞翁が馬」は、中国の古典『淮南子』に由来する故事成語です。その意味は「人生の幸不幸は予測できず、何が吉となり何が凶となるか分からない」というものです。由来となった話は次のようなものです。国境近くに住む老人の馬が逃げてしまい、人々は「不幸だ」と慰めました。しかし老人は「これは幸いになるだろう」と答えました。やがてその馬は立派な駿馬を連れて戻り、人々は「幸運だ」と喜びましたが、老人は「これは災いになるだろう」と言いました。実際に息子がその駿馬に乗って落馬し骨折しましたが、戦争が起こったとき兵役を免れ、命が助かったのです。つまり、幸不幸は簡単に決められないという教えなのです。
読み方は「にんげんばんじさいおうがうま」あるいは「じんかんばんじさいおうがうま」とも言い、「人間」は「世の中」「世間」という意味を持っています。
みなさんの学校生活に置き換えてみましょう。テストで思うような結果が出ず落ち込むこともあるでしょう。しかし、その悔しさをきっかけに勉強方法を見直し、次のテストで成果を出すことにつながるかもしれません。部活動で負けてしまうこともあるでしょう。でも、その経験が練習への意欲を高め、次の大会で勝利をつかむ力になることもあります。一見不幸に見える出来事も、後に幸運へとつながる可能性があるのです。
このことわざは「結果に一喜一憂せず、冷静に受け止めることの大切さ」を教えてくれます。人生の出来事はすぐに善悪を決められないからこそ、前向きに学びに変えていく姿勢が大切です。これから冬休みを迎えます。楽しい予定もあれば、宿題や練習で大変だと感じる人もいるでしょう。でも、どんな出来事も「人間万事塞翁が馬」です。今は苦しいと思うことも、後になって「やってよかった」と思える日が必ず来ます。
大切なのは最後まであきらめずに継続することなのではないでしょうか。1日1日自分ができるベストの積み重ねです。
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